ドイツ共和国宮殿

PLACE


共和国宮殿。その建造物は1990年、旧ドイツ共和国(東ドイツ)議会により、取り壊しが決定された。アスベストを使用した建造物であるが故「人体に危険を及ぼす恐れがある」、表向きにはその様な理由が立てられてはいるが、実際の所、他に多くのアスベストを含む建造物がベルリンに存在する事を考えれば、かつての旧東ドイツ時代の名残を忌み嫌う政治的な理由が濃厚である様に思える。

ここにはかつてフリードリヒ2世により建造されたベルリン王宮が存在した。王宮は第2次世界大戦により甚大な被害を被った後、「封建時代と帝国主義の過去を持つドイツのシンボル」と東ドイツ当局よりレッテルを貼られ、取り壊された。その後、 1976年にハインツ・グラフンダーの設計の下、この共和国宮殿が建設された。ここではかつて国民議会が開かれたほか、SED(ドイツ社会主義統一党)や FDJ(自由ドイツ青年団)の集会所といった政治的な利用だけでなく、コンサートや展覧会、演劇の上演が行われる文化施設、レストラン、バー、ダンススペースも併設され、庶民の娯楽施設としての機能も果たしていた。

これまでに3回、廃屋等を利用した気鋭のグループ展を展開してきた「FRAKTALE」が今回選んだ会場はこの共和国宮殿だった。4回目となる今回の展覧会は、会場となる共和国宮殿の今年末の取り壊しを背景に、「Tod(死)」とタイトルを冠している。

建造物内に入ると、かつてきらびやかな輝きを放った階段を上った先に(e.)ツイン・ガブリエルの作品が展示されている。この作品が展覧会の導入部にあたる。

順路に沿ってその裏に入ると、圧倒的な高さの天井の部屋に数々の作品—シュテファン・ベルヒトルド、ヨーン・ボック、シュテファン・フーバー、ジョン・アイザックス、インゴルフ・カイネル、ヨルグ・ランゲ、ロマン・ズィグナー、オリヴァー・ファンデンベルグ、ウィープケ・マリア・ヴァハマンらの作品—が広がる。ここはかつてのメインエントランスだった場所であり、この空間の広さを目の当たりにすると如何に当時の人々が目を見張ったかが忍ばれる。

会場はさらに、この部屋を通り抜けた先、上部にあがる階段広場—ヤン・ソボッカの作品—とその上階に広がる巨大な空間—その他多数の作品—へと続く。

展覧会全体は、「死」をテーマとしているため、深淵、グロテスク、シニカルな傾向の作品が多く見られた。そして建物の特性である、とてもダイナミックな空間を十分に生かしきった、巨大な作品が多かったのも特徴的だった。

この展覧会は当初10月22日までの会期だったが、好評につき11月19日まで会期が延長された。そしてその最終週、建物の最後を惜しむべく幾つものイベントやパーティが催された。

ちなみに、共和国宮殿の取り壊しの後は、かつてのベルリン王宮が再建される予定となっている。しかし寄付金を財源としているため実際の完成は危ぶまれているとも噂される。


FRAKTALE IV

会期:2005年9月17日〜11月19日
会場:共和国宮殿
住所:Schlossplatz / Karl-Liebknecht Strasse, 10178 Berlin
www.fraktale-berlin.de

Text and Photos: Yoshito Maeoka

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE