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クンスラーハウス・ベタニエン

PLACEText: Yoshito Maeoka

会場に入ると、ある地点を境にそこにはいない歓談する客の喧噪に包まれる。目の前には整然とバーカウンターが並ぶ。しかしそれはごく普通のバーカウンターではない。座席が間仕切りで個々に切り分けられており、その表面を厚手のカーテンが覆う。観客はこの空間に入り、防音装置としてヘッドフォンを頭につけ、注文シートにオーダーを記入することを要請される。

オーダーした飲み物は鎖でつながれたグラスに注がれ、観客の前に差し出される。観客はこの孤独な空間で酒を味わうという皮肉めいた情況に置かれるのだ。社交が目的で人が来ることが慣習化している展覧会のオープニングパーティを皮肉る、というコンテクストがこの作品の背景にある。

増山は観客を自然な形で作品に導入するため、細部に至るまでを徹底して作り込む。例えば、個々の席を外界から遮断するために取り付けられた厚手のカーテン。ベルリンでは、外の冷気を遮断する為に入り口に厚手のカーテンをかけるが、それをベルリン版の “酒場の入り口” として解釈し作品に取り込んだ形になっている。ちなみにこの作品が日本/ニューヨークで公開された際、カーテンの部分は、のれん/スウィングドアになっており、彼のその土地に対するまなざしと工夫ぶりが伺える。

この他会場には、アレクサンダー広場に設置を交渉している椅子の形をした体重計のプレゼンテーションが展示されていた。

増山士郎 個展「Parky Party」
会期:2005年6月30日〜7月17日
時間:14:00〜19:00(月曜日休館)
会場:Kunstlerhaus Bethanien
住所:2 Mariannenplatz, 10997 Berlin
TEL:+49 (0)30 616 903–0
https://www.bethanien.de

Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka

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