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OFFFフェスティバル 2005

HAPPENINGText: Anna Mentzel, Eduard Prats Molner

扉を開けると太陽が眩しく輝く頃、OFFFフェスティバル 2005が、まもなく始まろうとしていた。初めての客にとっても、バルセロナ現代美術館とCCCBの間にある広場に集まるには絶好の天気。この2つの象徴的な建物は、バルセロナの中心に位置し、ソナーのような他の有名なフェスティバルにおいて、定期的に何千人もを収容する場所でもある。入口に人が列を作りはじめる頃、客の中には軽い朝食やコーヒーを楽しむ者がいた。

例年のごとく、OFFFの会場はいくつかのセクションに分かれている。モーション・グラフィックや様々なフィルム作品を見るシアター、インターネット・アクセスやバーがある落ち着くためのスペース、展覧会スペース、そしてカンファレンスが行われるホールである。

フェスティバルは、ある素晴らしいカンファレンスと共にその幕を開けた。実際に、それはこのフェスティバルの中で最も良かったものの一つかもしれない。ソーダの人々が、オンラインユーザーコミュニティーから寄せられた沢山の寄稿作品の結果として、ソーダ設立者の自然進化論を披露した。彼らの話によると、ソーダ動物園はとても大きくその成長を遂げていて、ソーダ・レース・コンペティションは、機械に対向するユーザーの能力テストを目的としている。それには、人工的生物に対向する新しい生物を発生させるために、遺伝的演算法が用いられている。結局のところ、何が人間らしく、何が人工的なのか、識別することは難しい。なぜなら、機械は人間の入力操作から学び、ユーザーは人工的モデルをコピーし利用することによって学ぶからである。


カンファレンスホールにて、ソーダのプレゼンテーション

ソーダはまた、特にタブレットパソコン用にデザインされた「MOOVL」という新しいソフトウェアで我々を驚かせた。MOOVLとは、特に重さや摩擦などの物質的なプロパティの応用と、リアルタイムの聴覚反応を兼ね合わせたドローイングの環境である。ユーザーは実験を通して学び、ストーリータイプの掲示板を完成させるという、オブジェクトとアクションを作る体験ができた。

その後私たちは、展覧会の作品を見ることができた。その中でも気に入ったのは、アミット・ピタルによる「ワイヤー・スカルプチャー」だ。マトリックスの周波に図をつくる、3Dドローイングの環境である。(ピクセルのそれぞれの部分はオーディオの振動数にリンクする。)


アミット・ピタルによるワイヤー・スカルプチャー

このピースは、音楽やノイズの周波数はもちろん、ドローイング、ビジュアル作成においても、ユーザー体験ができるようになっている。また、ダニー・ブラウンによるインスタレーションも、ここで記述すべきものの一つだ。モーション・エフェクトを使用して、継続的にとても素敵な花を作り出すという、マクロメディア・ディレクターの目に優しい作品である。その隣には、ヤード・ターベルによる生成的な作品の一つがあったが、これは残念ながら彼の最高の作品ではなかった。私たちはさらに、MOOVLと、タイポグラフィーの要素のみを用いてドローイングをするソフトウェア「ロボタイプ」で遊ぶこともできた。


ソーダによる「MOOVL」のアプリケーション

その日のクライマックスを迎えた後の、素晴らしいカンファレンスとモーション・グラフィック作品のこともまた、ここに記述しておかなければならない。ヤード・ターベルが、「計算の人工遺物」というカンファレンスにおいて、作成中の生成的作品とフラッシュMXを披露した。フィードバックをそのシステムの鍵とした果てしないループの中、シンプルな計算が何度かなされた。


カンファレンスの後、アートワークのプリントを配るヤード・ターベル

ヤード・ターベルは、フィードバックを利用することの重要さを説明する。(未来の状況は過去に依存するという。)彼のアートワークは、ただただ私たちを魅了し、催眠術にかけられたようだった!計算の過程の単純さは、複雑さという美しさの中の、あるポイントに存在するほんのわずかなルールによってコントロールされており、それはまるで自然界のようだ。また別の「フィボナッチ」という、数の連続と基本的な物理的ルールは、彼に素晴らしいアートワークとスムーズな動作を作り出させた。また、彼の才能のコンビネーションでもあるフレンドリーさとその笑顔は、彼がこのフェスティバルにおいて、最も成功したうちの一人であることを強調した。


ヤード・ターベルによる数的なアートワーク「サンド・トラベラー」

初日は、このフェスティバルのレギュラー・スピーカーである、ジョシュア・デイビスによって締めくくられた。過去4年間、ジョシュアは同じことを語り続け、その日も変化は無かった。彼のスピーチを聞いたことがある人にとっては、新しいことは何も無い。ジョークやコメントさえも同じである。ただ一つ今回違ったのは、ジョシュアが型取られた3Dモデルを使用したということだ。しかし、平面のものを見る時は、崩れた動作を作り出した。Y軸内の動きによる異なった内容のエリアをナビゲートする時などだ。

ジョシュア・デイビスのスピーチは、デザインやアートというよりもマーケティングについてであった。そして私たちが印象を受けたのが、未だに彼が「ザ・スペースバー・メソッド」と称するものに取り組んでいたことである。これは、2000年にはすでに発表していた生成的デザインプロセスのことである。この5年間ジョシュアは何をしていたのだろうか?たぶん、このスペースバーを利用して、お金を稼いでいたのだろう。

初日のセッションは午前11時に幕を閉じた。完璧なバルセロナのディナータイム!

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