セミ・パーマネント 2004

HAPPENING


主にシドニーをベースに活動をしているデザイングループ「DESIGN IS KINKY」によって開かれているデザインカンファレンス「セミ・パーマネント」がオークランドにもやってきた。

今回はアメリカからアニメーターとして活躍している「MK12」、地元オークランドからデザイナ−2人組ユニット「THE WILDERNESS」、ウェリントンでのポストプロダクション会社「OKTOBOR」、世界的に有名なアートディレクター、ビンス・フロスト氏、ロンドンからはテレビコマーシャルなどのアイデア提供を行っている「THE MILL」、そしてシドニーのファッションマガジン「BLACK AND WHITE」という豪華なメンバーが揃った。


本やソフトも展示販売されていた

MK12: アメリカのカンザスシティーをベースにモーショングラッフィクスを制作している彼ら、MTV等のモーショングラフィックスを制作しているだけあり技術的なものは非常に高レベルだ。しかし驚くことにエディティングシステムはデスクトップパソコンしか使わないということだった。10年以上前にデスクトップパソコンがDTP業界で使われるようになったときのように映像の世界でもパソコンで高度なアニメーションが作れるようになったことの影響が大きいと言っていた。

彼らは美大のころからの仲間たちで始めた家族的な会社だそうだ。アメリカンポップの影響を受けたカラフルな映像が印象的だった。

THE WILDERNESS: 地元オークランドから参加した2人ユニットで活躍をしているデザイングループ。 1997年頃から地元でのクラブイベントのフライヤーなどを一緒に作っていたらしいのだが、今ではニュージーランドのミュージーシャンのCD、ミュージックビデオからヨーロッパの会社まで幅広いクラアントを持つようになった。彼らのタイポグラフィーのセンスには光るものがあり、タイプフェイスの制作なども手がけている。また仕事以外の部分でも積極的にアーティスティックな作品を発表し続けている。

OKTOBOR: ニュージーランドの首都ウェリントンからは、ポストプロダクション/インタラクティブデザインの会社「OKTOBOR」が、 彼らの最近のプロジェクトを披露してくれた。ロードオブザリングの制作に携わった会社だけあって彼らの作るコマーシャル等は世界でも有名だ。ニュージーランドのブロードキャストデザインのリーダー的存在と言っていいだろう。
インタラクティブ部門では、CD-ROM等を披露してくれたが、彼らのドキュメンテーションの細かさには驚かされた。ビデオや写真で制作行程を記録しており私たちにもどのようにして作られていくのかがよくわかった。

VINCE FROST: カナダ生まれでイギリスで育ったというフロスト氏は世界的にも有名なアートディレクターだ。彼はイギリスで「ペンタグラム」の一員として頭角を現し、数々の雑誌のディレクションを経験した。「フロスト・デザイン」としてイギリスで活動を行っていたのだが、今はオーストラリアに移住してシドニー、メルボルン、ロンドンの3つのエージェンシーの指揮をとっているそうだ。また日本では「ヴォーグ・ジャパン」を立ち上げる際1年ほど滞在したそうである。
非常に気さくな彼は会場外で私たちのインタビューを快く受けてくれた。今は3つのオフィス合同で仕事をしているそうで、アートディレクターとして仕事の分配、他のデザイナーとの仕事など気を使うところは多いものの大旨いい仕事ができているということだった。

またクライアントと接する場合に気をつけていることの1つとして仕事のプロセスに透明度を持たせるようにしているそうだ。そうすることによって勘違いなどのミスコミュニケーションもなくなるし、最後にはクライアントも友達として付き合うことができるて新しい仕事を紹介してくれることが多くなると言っていた。その他オーストラリアでは最近「ZEMBLA」という雑誌を創刊している。


ビンス・フロスト氏と今回の取材を手伝ってくれたサム・ブロディ

BLACK AND WHITE MAGAZINE:オーストラリアのファッション・セレブマガジンの1つ。この雑誌の特徴の1つには、ヌードモデルを多く使ったセクシーな一面があげられる。毎回表紙のデザインから内部のタイポグラフィーまで一新すると言うデザイン、非常にレベルの高いものだった。

THE MILL: ロンドンから参加したテレビコマーシャルなどのプロデュース会社。ここでは撮影、ポストプロダクションなどの作業は一切行わないそうでアイデアを出すこととプロジェクトの管理をメインに行っている。
プレーステーション、やナイキなどのCMは、映画のように大きな予算を費やすこともあるそうなのだが、アイデアがやはり一番重要だと言っていた。90年代に制作されたというCMなどは技術の進歩した今見てもアイデアで勝っている。
ブラジルで撮影したと言うプレーステーションのCM、何万人というひとが山になって頂上を目指している映像は多いに目を見張った。

全体的にみてハイレベルなグラフィックデザインの仕事の現状を体感することができ、観衆の多くだった学生達も多いに学ぶところがあったと思われる。しかしその一方で、見た目のいいファッショナブルな作品がメインになっており、コンセプトに欠けていても、見た目さえ良ければいいと勘違いさせらなければ良いのだが、とも思わされた。

3年ほど前にシドニーで行われた IdNのカンファレンスに私は参加したのだが、その時に感じられた、時代を変えようとしているパイオニアたちのビジョン、といったようなものは、今回のスピーカーたちからはあまり感じなかった。どちらかというと、ハイレベルな職人達と、彼らの仕事にフォーカスされていたと思う。
やはり仕事としてのデザインという所にフォーカスをした場合、アートや科学のカンファレンスと違い、コンセプトやビジョンといったものと同じ位、どれだけクライアントのニーズに応えられるか、という面が大きなものとしてあり、それをカンファレンスに来ている観衆に伝えるというのは、なかなか難しかったようだ。

オセアニア地域のデザインは、ヨーロッパ、アメリカに比べて、まだ歴史の浅いところがあるが、ヨーロッパ、アメリカにはないユニークな世界観、発想、影響などがある。またインターネットなどやパーソナルコンピューターの発達によって、情報や技術の格差がなくなってきているので、ここに来ていた学生達のなかから、オセアニア地域を代表するようなパイオニアたちがでてくることを願っている。

SEMI-PERMANENT
会期:2004年4月24日
会場:Bruce Mason Centre
住所:Cnr Hurstmere Road and The Promenade, Takapuna, New Zealand
info@semipermanent.com
http://www.semipermanent.com

Text and Photos: Kentaro Yamada

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