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ビジュアローグ

HAPPENINGText: Erika Saca

10月10日。文化の壁を超えて、ユーモアを理解しあうのは、非常に難しい。特に、グラフィックデザイナーがそう感じる機会は多い。アメリカ人には、笑えるものでも、日本人にとっては、なんの面白みを持たないということはよくある。これから紹介する3人のデザイナーは世界共通のユーモアについて語った。彼らは、万国共通で面白いと思えるメッセージを何とか伝えようとしている。

福田繁雄は、国境を超えるユーモアの、具体的な例をあげた。『ヨーロッパやアジアの古典芸術の多くは、しっかりとしたテーマや形式がある。この事実は、ユーモアは世界共通になり、人間の根本にある感情は分かりあうことができる、という主張を裏付けるものだ』と述べる。


ファブリカのプロジェクトを紹介するオマー・ヴルピナーリ

ベネトンのリサーチセンター、ファブリカのビジュアル・コミュニケーション・デザインのリーダーである、オマー・ヴルピナーリ(イタリア)は、「フール」という作品のプレゼンテーションを行なった。彼曰く、フールはデザイナーのあるべき姿を具現化しているそうだ。『フールは、狂人と賢人という両極を表現している。また冒険をし、危険を冒す。』と語る。

続けて、その作品を見せてくれた。彼の生徒の作品は、完璧なフール、つまり愚か者、のあらゆる面を表現していた。それらの作品は、ユーモア、騒動、疑惑、破壊、などの要素を持ち、ファブリカの遺伝子をしっかり受け継いでいると述べる。


ファブリカのプロジェクト

『どんなに、正しいものを作ろうとしても、必ず何か違うものができてしまう。計画した通りになど、ならない。』今、最も影響力をもったデザイナーの一人である、ネヴィル・ブロディ(イギリス)は、そう言ってレクチャーを始めた。


ネヴィル・ブロディのイッセイ ミヤケのプロジェクト

『一番いいアイディアは、失敗から生まれることがある。』ブロディは、『ルールを破壊しパターンを壊すことによって、見る側に違った角度から見せることができる。デザイナーは、手の加えられていない情報と聴衆の間にいる。デザイナーとして、聴衆の意見を形にすることができるのだ。』と語る。

ネヴィル・ブロディは、この世界を非難しながら、力強いスピーチをし、今こそ変わるのだ!というインスピレーションを与えた。

『僕は、直感や本能、創造的、自然体でいる方法を忘れかけている世界に身を置いている。今や、“創造” をするというより、計算をしているといったほうが正しいかもしれない。粘土で何かを作るように、手を使って何かを創るということを忘れてしまった。GAPの広告が革命だ、と言われてしまう世界なのだ。我々は、限られた色しかないパレットのような、社会を造ってしまった。まるで、色を削り取り、256色で世界を見ているようだ。高解像度から低解像度へと向かっている。無限の可能性から72dpiへと。私たちは、ルールとは破ることができるものだということを忘れ、我々はただそれを変えているにすぎないのだ。皆、失敗を恐れているのだ。それを破らない限り、決して見つけることができないだろう。』

このレクチャーを終えた頃には、私ののどの奥は締め付けられるような感じがして、目は涙で潤んでいた。


ジョナサン・バーンブルックの「Buy Nothing Day」の広告デザイン

ジョナサン・バーンブルック(イギリス)は、現代のグローバル化をダイレクトに批判をし、論争を巻き起こすことで、有名だ。バーンブルックは、ウィットとクリエイティビティと混乱を組み合わせて、現代の最大の消費者の象徴をあざ笑おうとしてきた。

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