ボタニカ・ハンドメイド・ソープ

PLACEText: Aya Muto

アドバスターズの「Appetite(食欲)」号で「母親の乳房から母乳を得てるときが生涯の中で一番食物の資源との距離が近く、それ以降その距離は離れる一方である」という提議を読み、思わずはっとした。普段ありとあらゆる商品に囲まれて生活していると、いつの間にかその口に入れるもの、体につけるものがどこから来るのかなんて考えなくなってしまう。広告のアピール度がモノを言う商品戦略をうけ、ついそのイメージで購入好意に走ってしまうというのが今日の消費行為の多数を占め、背後の動物実験などのネガティブな要素はキレイなパッケージに隠され、次々と新しい商品が店頭に並んでいく。

その一方で情報化社会をうまく反映し、自分に関わる世界を積極的に選択している人たちもいる。ここロサンゼルスで手作り石けんを制作し、ウェブを通して毎月個数限定で直接販売をしている高橋真木子さんもその一人。「ボタニカル(植物学)」から名前をとった「ボタニカ・ハンドメイド・ソープ」では、動物性オイル、人工添加物などを一切使用せず、植物オイルと植物バターに天然のエッセンシャルオイルを組み合わせ、毎月新しい石けんを発表している。

そもそものきっかけとなったのが彼女高橋さん自身の肌のトラブルとか。約9年間のニューヨーク生活(ブロンド・レッドヘッドでベースを弾き、やがてチボ・マットとともにツアー)の後、ロサンゼルスヘ引っ越してきた途端、肌が不調を訴えたという『おそらく水のせい(東海岸に比べやや硬水)。でも今までずーっと使ってきたシャンプーやボディーシャンプーなどの石けん類に含まれる合成界面活性剤(石油化学薬品)合成保存料などが肌に蓄積されて限界に来てたんだと思う。ほら、コップいっぱいの水が表面張力で保っているところに水をほんの一滴垂らしたらこぼれてしまうでしょう?それと同じ。』ヘルスコンシャスのロスにはオーガニック専門店も多く、当の高橋さんもかなり市販のオーガニック商品を試したという。結局どれも肌にうまくあわず、なら自分で作ってしまおう、ということになったのだそう。ファッション(もともとはファッション系の学校に行ってたとのこと)、アート、音楽という彼女の肩の力の抜けた変遷ぶりをたどれば、この DIYな発想はごく自然なプロセスだったのだろう。

無数の色、香りの可能性を秘める植物オイル、植物バター、そして天然エッセンシャルオイルの組み合わせを研究することで、高橋さんの石けんレシピはたえずバラエティを増やしている。彼女独特の感性でデザインされたウェブサイトには毎月毎月新しい石けんが発表され、購入者は季節、気候にマッチしたでき立て(1ヶ月以上時間をかけて熟成されるコールドプロセスを採用しているため、個数限定の販売)を成分レシピを見ながら選ぶことができる。なかでもケーキソープシリーズはその名の通り、色やデザインなどまるで本物のケーキを選んでいる気分。今後の発表を待つ熟成中の石けんをいくつか紹介してもらった。



天然エッセンシャルオイル(本人の偏頭痛を引き起こすため人工香料のフレグランスオイルは一切使用されていない)の独特の組み合わせによって思わぬいい香りが生まれたりするのだそう。是非一度手に取ってお試しを。小さいサイズは¥300から(+送料)とお手ごろ。11月の発売日は23日です。

Botanica Handmade Soap
住所:2305 Glendale Blvd. #203, Los Angels, CA 90039, USA
sales@botanicasoap.com
https://www.botanicasoap.com

Text: Aya Muto

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