イサム・ノグチ美術館
PLACEText: Yuji Shinfuku
マンハッタンの喧騒からはなれたクイーンズ、ロングアイランドシティーにあるイサム・ノグチ美術館には、ここにしかないゆったりとした時間が流れる。周りは倉庫街のためとても静かで館内には木漏れ日が差し込み、そこには何も邪魔するもののない空間が広がる。元々工場だったという建物を改装したこの場所は、単なる美術館という枠を超えそのスペース自体が憩いの場として機能しているように感じる。
Exterior View, The Noguchi Museum, NY
イサム・ノグチ美術館はノグチの生前1985年に開館されて以来、多くの来園者を魅了してきた。作家が自分自身のために設立した機関としては全米初のものであり、美術館の設計もイサム・ノグチ自身によるものである。元々工場だった建物を利用した部分、ノグチが新たに設計した部分と庭園から成り立っている。館内の場所によっては鉄筋がむき出しになっているようなところもあるのだが、それも彼の作品とうまくかみ合っているように見える。
Interior Courtyard, The Noguchi Museum
エントランスをすぎると光の差し込む広々とした屋外空間のなか彫刻群が来園者を迎え、その後2500平方メートルの広さの2階建ての本館建物に入る。1階展示室では常設してある代表的な作品群が見れ、ビデオ上映などもされている。2階展示室ではノグチが「AKARI」と呼んだ室内照明などがメインに展示されている。そして建物の外の日本庭園に影響を受けたという彫刻庭園でもイスに座りゆっくり彫刻群を鑑賞することができる。大理石、石、鉄などそれぞれの素材を生かした彫刻が並ぶ。一つの素材から削ったもの、パーツを組み合わせたようなもの、さらにはどうやって精製したのだろうというものまでそれぞれの作品がキャラクターをもっていて見ていて飽きることが無い。
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