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ドローグ

PLACEText: mina

どんなものでも額縁に収められる、粘着ビニールテープ「Do frame」をインテリアショップで目にした人も多いだろう。マルティ・ギゼの視点は新鮮な驚きを私たちに与えてくれた。

「デザインとは、アイディアの終着駅ではなく出発点でしかない」そんなデザイン基準をもとに、クリエイティブ活動を続ける集団が1993年、オランダで誕生した。その名は「ドローグ」(droog)。先の作品のように、ユーモアとウィット、そして少しの皮肉をデザインに取り込みながら、生活にアイディアとインスピレーションを与える新しい価値基準を提案していく。日常を豊かにしつつ、機能性にも着目する1990年代初期に登場したダッチデザインだ。
創始者の一人、ハイス・バッカー氏が日本の伝統やポップカルチャーに興味があったことなどから、2008年6月、国外初のギャラリーを兼ねた直営店舗が恵比寿にオープンした。

Droog
© droog

そこでは次のような作品に触れられる。「85 lamps chandelier」は、電球という照明の最小構成要素を85個集めることで、ひとつの贅沢なシャンデリアへとその姿を変え、強い存在感を放つということを表現したローディ・グローマンスの作品(MoMA永久展示品)。

Droog
“Matwalk” Paolo Ulian © droog

入浴中に気づいた携帯の呼び出し音。濡れた足でフローリングを歩かなくてもいいように「Matwalk」は、足拭きとお掃除が一度にできてしまうという一石二鳥のバスマットだ。合理的でありながら、そのユーモアには思わず笑みがこぼれてしまう。「Swing with the plants」(84,000円)は、ブランコの座面の穴に土を入れると、蔦がロープに絡まり、絵本で見たようなブランコが自宅の庭でも愉しめるというもの。

Droog
“Rag chair” Tejo Remy © droog

そして、とても印象的な作品にテーヨ・レミーデザインの「Rag chair」などがある。大量生産、大量消費時代だった1990年代、リサイクルをテーマに古着を使用して作られた椅子は、思い出の布地によって、世界にひとつしかないユニークピースの作品へと生まれ変わるのだ。

Droog
“Sucker” Jan Hoekstra & Leon Ramakers © droog

これまでに、100人以上のデザイナーが様々なプロジェクトに関与した。
彼らがデザインするものは、華美なデザインや意味のないデザインを排除したシンプルなコンセプチュアルデザインであることから、オランダ語で「乾燥」を意味する「droog」と名づけられたそう。日々の生活の中で、きちんと機能することを考えて作られるデザインは、今後、カタチの有無にとらわれずに発信されていく。
デザインの本質を、“実用性の中にある、日常の豊かさへの提案”と捉えるオランダ。
一方、“所有することの喜びとステイタス”として、捉える傾向がまだまだ強い、ブランド崇拝主義の日本。それでも「ドローグ」が提案するデザインの新しい価値基準に、共感する人が増え始めていることも、また確かだ。

droog
営業時間:12:00〜20:00(完全予約制)
定休日:月曜日
住所:東京都渋谷区恵比寿2-4-2
TEL:03-5795-1889
info@droogdesign.jp
http://droogdesign.jp

Text: mina

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