「時間を移動する9つの旅」展

HAPPENINGText: Aya Ono

イタリア・ミラノのミラノ王宮(ミラノ・パラッツォ・レアーレ)内「王子の居間」を会場に、自動車の高級内装素材をはじめ、多国様々なブランド用品で使用されている高品質素材「アルカンターラ®」を提供するアルカンターラ社とミラノ王宮の合同展「時間を移動する9つの旅」(原題:Nine Journeys Through Time) が4月5日から5月13日まで開催されている。

今年で3回目となる同展は、10組のアーティストによる9つの作品が「王子の居間」の10の部屋を使って展示されている。アーティストたちはそれぞれ「王子の居間」と意思を通わせることで、思い思いに作品を表現している。この空間は大きな創造のエネルギーを秘めた場であり、さまざまな旅への出発点。タイトルが示すように、主なテーマのひとつ「時間」は、アーティストと素材、アーティストと展示場所、アーティストとキュレーターとの対話のプロセス・成果でもあり、飛ぶように過ぎて行く「人間の時間」と、知覚しがたい「科学的な時間」でもある。本展は、異空間への旅を提供することを目的としている。

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Desire, Aaajiao, 2018

アルカンターラ®の純白の幕を開き、旅が始まる。最初の部屋は、上海とベルリンを拠点に活動するメディアアート界を代表するアアジャオのインスタレーション「欲望」。透明で有機的な形状のカプセルに土色の塊が見える。この土色の物体こそ、アルカンターラ®の素となるフレーク(薄片)だ。このフレークがこの先、様々な色、形状、感触に変化し、どのようにアートと一体化していくのか。微視的な世界観を見事に表現した作品であった。

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156 prepared dc – motors, wires, mdf boxes 30x30x3cm, Zimoun, 2018

二つ目の部屋は、モーターや段ボールといった画一的な素材を用いて大量のユニットをつくり、想定外の破壊的な音場をつくりだすスイス出身のアーティスト、ザイムーンのインスタレーション。縦横30cm、厚み3cmの156個のMDFボックスにDCモーターとアルカンターラ®のワイヤーを取り付け、DCモーターによってワイヤーが高速回転しMDFボックスに叩きつけられる音が部屋中に響き渡る。アルカンターラの歌声、ということであろうか?壁一面にボックスが設置された工業的な光景。あえてモーターやワイヤーに加工や着色はせず、最小限で表現している。前衛的な巨大楽器が奏でる催眠的な響きはなんだかクセになりそう。

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Extended Indefinitely, Iris van Herpen and Esther Stocker, 2018

フューチャリスティックなデザインが特徴のオランダのファッションデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルペンと、幾何学的な3Dインスタレーションや壁画で知られるイタリア出身のアーティスト、エスター・ストッカーの共同によるインスタレーション「無期限の拡張」は、アルカンターラ社の薄い糸を使用して制作された一着のドレス。緻密に計算されカットされた曲線のドレープが滑らかで美しく、幻想的な存在を放っていた。

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Eden, Andrea Anastasio, 2018

インドでイスラム建築の制作プロジェクトに参加するインテリアデザイナーのアンドレア・アナスタシオの、アナコンダからインスピレーションを受けたという「エデン(楽園)」。アナコンダ柄をプリントしたアルカンターラ社の素材を使い日常に溢れる見慣れたモノを贅沢なモノに変身させ消費社会について提議している。その中で大胆に活けられた花の存在が印象的だ。

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