マイアミ・ペレス美術館

PLACEText: Victor Moreno

マイアミの至る所に、スペイン語圏の公式的なコミュニティが存在している。そのことが、マイアミ美術館の名を変更させる運動の着火点ともなった。美術館の名称変更申請が運営委員会を通過した後、その内の4人が反対のため委員会を退いた。この運動における議論は、特定の寄贈者の名前を美術館に付けることで、今後の(多額の資金を持つような寄贈者からの)贈与のチャンスを失うのではないか、というものだ。しかしペレスは、ゲティ美術館やグッゲンハイム美術館といった寄贈者の名前を冠した美術館において、そういった損失は見られない、と話している。

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Jorge Pérez. Photo: Andrew Milne

ペレス美術館は、前身のマイアミ美術館のコレクションに加え、館にふさわしいコレクションをさらに充実させた。これまでこの展示や常設作品として所蔵されているアーティストとして、アイ・ウェイウェイやフランク・ステラ、オラファー・エリアソン、ダン・フレヴィンやキキ・スミスなどの名が挙げられる。マイアミ美術館のコレクションは、20世紀から21世紀にかけて制作された太平洋沿いの文化(アメリカ、西ヨーロッパ、アフリカ)にゆかりある作品を収集しており、これらのコレクションは、アートの世界におけるグローバル化や、大陸間における文化交流を反映している。そしてこれらは、マイアミの観客たちにとって一番しっくりくるテーマや問題提起でもあるのだ。コレクションが持つ本質的な側面として、南フロリダのアーティストたちの作品を収蔵しているという点も挙げられるだろう。地域とグローバルな視点との間でダイナミックな相互作用を生み出すことが、この美術館のコレクションの目指すところなのだ。

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Ulla von Brandenburg, It Has a Golden Sun and an Elderly Grey Moon, 2016 (still). Digital color video, transferred from Super 16mm film, with sound, 22’25”. Courtesy the artist and Art: Concept, Paris. Photo: Martin Argyrogla

アメリカ国内でも最も速い成長を続けるマイアミはもっとも多種多様な場所のひとつだ。カリブ海、北アメリカ、南アメリカの文化が合流し、市民活動に活気や多様性を与える場所として、美術館は地域に貢献し続けている。また美術館は革新的な美術教育や、コミュニティの結束力の構築をサポートし、ダウンタウンの継続的な活性化における触媒としての役割も担っている。アート・バーゼル・マイアミマイアミ・アートウィークウィンウッド芸術地区などによって、アート系メディアの中でマイアミにスポットライトが当たる中、ペレス美術館はマイアミにおける現代的な都市計画を取り入れ、人と街を繋げるためのピースとして機能してきた。この美術館がオープンしたことにより、マイアミのダウンタウンはカルチャーマップの中で、中心的な場所となっている。

また、美術館の敷地にある水辺のレストラン&バー「 Verde」では、新鮮で現代的な食事やカクテルを味わえるので、お見逃しなく。


Pérez Art Museum Miami (PAMM)
開館時間:10:00〜18:00(木曜日21:00まで)
住所:Miami 1103 Biscayne Blvd. Miami, FL 33132
入館料:一般 $16、シニア $12、学生 $12、子供(6歳以下)無料
TEL:305 375 3000
info@pamm.org

https://pamm.org

Text: Victor Moreno
Translation: Haru Murayama
Courtesy of Pérez Art Museum Miami

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