ハイパー・アイランド

PLACEText: Kyoko Tachibana

ヨーロッパそして世界中のウェブデザイン界で注目されているのが、ハイパー・アイランド。それもそのはず、ハイパー・アイランドの卒業生の多くは、在学中、卒業後に関わらず、世界でもトップのウェブデザイン会社で、仕事をする機会に恵まれているのである。

ハイパー・アイランドの始まりは1995年に、マルチメディアプロデューサーである、デイビッド・エリクソンとラース・ルンダーが、現在「OTHER Media」でクリエイティブ戦略のディレクターであるジョナサン・ブリッグスにプロジェクトを通してであった事がきっかけ。校舎が1860年まで海軍の監獄だったということは有名な話で、その敷地は世界遺産に登録されている。

Hyper Island

この学校がユニークであるのは、校舎だけではなく、高等教育機関としてもハイパー・アイランドはユニークなのである。まず始めに、学校にはコンピューターも用意されておらず、学生は自分のものを持参する。そして次に、授業の40%が実際の会社でのインターン期間であること。かなりの難関である入学試験を乗り越えた学生たちは、課題制作や2次に渡るインターン研修を終えた後、社会に出るのである。

Hyper Island

『業界に学生たちを教育させることにより、学生たちが業界を教育するのです。この学校には、俗に先生と言われている人たちはいません。業界自体が一番の先生であり、その代わりに、彼らが必要としている学生を得ることもできるのです。』と学校のCEOであるマティアス・ハンソンは言う。

学生たちはチームに分かれ、単にウェブデザインというだけでなく、様々な要素を取り入れつつ自らプロジェクトを進行していくことが、学習の過程となっている。学生たちは自ら進んでプロジェクトを進め、通常大学などで見られるような講義の形式を取った授業ではなく、実際の職場にいるような感覚で、講師達はプロのアドバイスを与える。

さらに、ハンソン氏はこのような教育方針においてのハイパー・アイランドの役割について、『学生たちが自立心を持ってプロジェクトを進めることができるような環境を作り出すこと、このような学習過程を促進させることが私達の務めです。これは今まで13年間私達がやってきたことです。これが、ハイパー・アイランドがあちこちで話題になっている理由です。』と言う。

Hyper Island

共同設立者であるジョナサン・ブリックの「OTHER Media」での記事によると、このような教育方法は、イタリアのファブリカや、コペンハーゲンのスペース・インベーダーズのようなヨーロッパの他の機関の経験を基に計画されたそうだ。

ハイパー・アイランドの次の目標は、海外からの留学生を積極的に受け入れることである。現在国外からの留学生には英語での授業を行っており、アメリカやイギリスでの授業も要請されている。カールスクローナ校やストックホルム校でも集中講座が開かれていて、日本人向けの特別講座も準備中とのこと。『このハイパーアイランド・エクスペリエンスという集中講座の他にも、今回、日本からの参加者には、スウェーデンの有名デザインブランドやデザイナー事務所への特別訪問や、その他にも、サプライズを用意しています。』

デジタルメディア分野においてだけではなく、ハイパー・アイランドは、一般高等教育においても、実験的かつ効果的な教育現場としての可能性を示している。

Hyper Island
住所:14 Bastionsgatan, S-371 32 Karlskrona, Sweden
TEL:+46 455 30 7777
http://www.hyperisland.se

Text: Kyoko Tachibana
Photos: Courtesy of Hyper Island

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