菅野美術館

PLACE

彫刻のあるアートキューブ。彫刻のあるべき美しさを強調する独自の空間性。

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© Daici Ano/FWD INC.

2006年春、宮城県塩竃を展望できる高台に、世界の巨匠ブルーデル、グレコ、デスピオ、ムーア、ファッツィーニ、マンズー、マリーニ、ロダンなどの西洋近代彫刻を常設展示する菅野美術館が開館した。


1970年代から本館館長である菅野喜與氏によりコレクションされた彫刻作品9点、「カレーの市民、ピエール・ド・ヴィッサンの右手(ロダン)」「マドレーヌ・シャルノ(ブールデル)」「アリス・ドラン(デスピオ)」「ヘルメットの頭no.6(ムーア)」「ルチリア(グレコ)」「小さな裸婦(マリーニ)」「枢機卿座像(マンズー)」「足を見る女(ファッツィーニ)」「遊ぶ猫(ファッツィーニ)」を収蔵する。

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© Kanno Museum Of Art

「最高傑作の彫刻作品を収蔵する美術館」ということだけでも、おそらく国内外から注目されるだろうが、多くの人が、美術館という認識を与えない外観に魅了され、ホワイトキューブとしてのみ単純に存在しない館内を特別視する理由がある。

菅野美術館の建築は、宮城スタジアム等を手掛けた気鋭の建築家阿部仁史氏によるもの。
鋼板を用いた外観はコールテン鋼の質感を持ち、建築自体が彫刻を思わせる。入り口を探し館内に入ると、白を基調とした空間に心地よく光が入り込んでいる。

常設展示となる9つの彫刻に対応するように小空間が存在し、その小空間をら旋状に巡りながら、彫刻をあらゆる角度から鑑賞する。彫刻たちが太陽光のスポットライトを浴び、空間は彫刻と共演するために築かれているようだ。

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© Kanno Museum Of Art

それぞれの小空間はエンボス加工が施された3.2mm厚の鉄板で作られている。これは、内外壁のエンボス部分の突起部分が補強し合う柱を持たない構造となっている。エンボス部分の凸凹が白い空間に、有機的な印象を与える。

オープン以来、企画展、コンサート、講演会等を開催し、建物空間と彫刻、そしてアーティストのコラボレーションに挑戦してきた菅野美術館。2006年には本館の建築家でもある阿部氏による「RAINBOW展」が開催され、窓の位置や壁の構成、傾き、仕上げ等を十分に活かし、太陽の位置や照明の光がみごとな虹、レインボーを生み出した。ロダンをはじめとする彫刻に光を当て、他の美術館では表現不可能な展示空間を作り上げた。

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© Kanno Museum Of Art

仙台圏には阿部仁史設計による宮城スタジアムや伊東豊雄設計のせんだいメデイアテークが存在し、全国的な建築発信地としても名を広げつつある。昨年の夏から、建築学科の学生が建築ツアーで菅野美術館にも訪問しはじめている。

7月28日からはデザイナー野老朝雄(ところあさお)氏による展覧会が開催される。阿部仁史氏とも交流が深く、本館の空間性を良く理解したデザイナーである。

学芸員齋藤氏に今後についてお伺いすると、「建築の目新しさだけではなく、彫刻のあるべき美しさを強調する独自の空間性を活かしていきたい」と話してくれた。
クラシカルな彫刻とコンテンポラリーな彫刻的建築のコラボレーションは、これからも菅野美術館に普遍的な魅力を与えるに違いない。

野老朝雄展
会期:2007年7月28日(土)-9月30日(日)
開廊時間:10:00-17:00月曜、火曜休館
料金:一般500円 大学生・高校生300円 中学生以下は無料

菅野美術館
住所:〒985-0042宮城県塩竈市玉川3-4-15
TEL:022-361-1222
アクセス:JR東北本線塩釜駅より徒歩10分、タクシー利用で3分

Text: Aya Takada

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