メルボルン・グラフィティアート

PLACE


多様性。メルボルンのストリートアートはこの一言につきる。どんな好みのストリートアート文化も、ここでは見付けることができる。

メルボルン中心、フリンダーズ・ストリート駅から延びていく電車に乗り、郊外へ向かえば、ニューヨーク発のグラフィックに覆われた果てしない壁に辿り着く。無論、どこにでもあるありふれたものも目につくが、なかにはこの街のテイストがそれらに個性を与えているものもある。メルボルンにはシャッターや鉄道のコンクリートキャニオンを得意とする真面目な仲間がたくさんいる。しかし、私が注目するのはメルボルン特有なものをそれぞれに兼ね備えた作品だ。

では誰がホットか?

落書きの王様「70K」は現在いたるところで活躍していて、警察によると、パブリック・エナミーの筆頭だ。
スタン、ボーンズ、レンクス、ミャオ、レイフィーによる「70K」は、爆撃スタイルの縮図である。ありとあらゆる場所、線路の中、電話ボックスの引っ掻き傷、横道に目をやれば、車のバンまで。高さ6メートルから吊るされた、モップとローラーで作られたタグは、きちっと掲げられれば数キロ先から見ることが出来る。「70K」は長年誰にも注目されなかったような場所を意図的に選び、場所決めにもぬかりはない。
「70K」のスタイルはミニマルで素早く、そして戦術的によく練られた本来のやり方である一方で、決してスタイルを失うことなく、ライティングカルチャーの歴史への深い理解を示している。

今では街中に広がりをみせる「70K」であるが、CBDは、もう1つのメルボルンに欠かせないものである。そして、これが常識を超えた多様性なのだ。格子状に整備されたこの街は、数えきれない程の路地や行き止まりに続く入り込みをも生み出した。ちょうどこっそり活動をするのにぴったりと適した。

80年代に活躍したマルコス・デヴィッドソンやコリン・ブリーリーといった先駆者達、全て彼ら独自の個性的な作品(自家製のノズルを使ったワイルドなスタイルを習得中の者がたくさんいたなかでー充分な尊敬を込めて)そして90年代初頭には マルクスタが当時斬新だった広告やロゴを織り交ぜた手法を確立して行った。彼独自に「リ・アドバタイジング」という理論をすすめながら。

1996年、「シティライツ」のメンバーが、中心地外れの奥地に24時間のライトボックス・ギャラリーを設立。ほぼ毎月にわたって、のべ150人以上のアーティストによる展示を続けている。デジタルの画像をレコードに印刷し、ライトボックスに取り付けたり、モグリの酒場風のブロックパーティーを開催したり。1998年にはさらにホシアー通りにもギャラリーをオープン。それからというもの、2つのギャラリーが中心部のシーンの中心となり、地元のアーティストが毎晩のように訪れて作品を残していくなか、スペース・インベーダーやバンクシーといった顔をみることもある。

90年代終わりには、ステンシルが大流行し、同時にオーストラリアでのグローバル化や数年にわたる政治的保守主義を反映した政治色の強い主張も現れてくる。

ワールドトレードセンターに飛行機が衝突した頃、メルボルンでは街はステンシルに溢れ、「HaHa」「Dlux」「シンク」「サ−ム」や訪れてきた「Swede Sixten」「ロネ」「Vexta」「シビル」「アズラン」「アルボ」「フィブス」といったアーティストの手によってワイルドで刺激的な形へと変化していった。「プリズム」は規模の大きな「ステンシル・レボリューション」というサイトを立ち上げ、「HaHa」と「Dlux」は今では既に過去のものとなったが当時中心的なアーリ−・ギャラリーを運営。「ザ・エンプティ」達は使われていない倉庫やシークレットロケーションでのショーを始めた。「エバーフレッシュ」は巨大な手描きの貼り紙を作り出し、ステッカー戦争が度々起きている。「Ashtek」においては大規模な消化器を使った表現を公表し、「レックス」「1337」「ガズ」「リスター」といったアーティストは定期的にブリスベンからやってきては話題を作って行った。そして、「ネイルズ」「モンキー」「Nurok」「レカ」。皆エアゾール・フリーハンドでの彼ら独自の手法を確率していった。偉大なるバリー・マクジーの常識はずれなショーも忘れてはいけない。

では、次にくるものは?

そう、それが実に興味深いところ。文化は急速に路上にあるものを吸収している様子で、シーンは今、ギャラリーの展示、グラフィック、組織への仕事、もしくは個々の様々な分野へと広がっている。モンキーは彼の「ランチョ・デラックス・ショップ」での活動を続けているし、「シティライツ」のディレクター、エイマックは高尚なゲリラサロンを開こうとしている(完全予約制)。メルボルン市は間もなく迎えるコモンウェルス競技大会に向けて、ストリートアートを厳しく取り締まっていく政策を発表。カールとジェイクはこの5年間の記録を「ステンシル・グラフィティ都市:メルボルン」として出版している。

というわけで、一般市民や警察は、メルボルンのネズミどもは次にいったいどんなものを壁に持ち寄ってくるかと、神経質に構えている。でも私達はこう言うのだ。かかってこい!

Text and Photos: Andrew Mac
Edited by: Melodie Mars
Translation: Futakawa Yoshitaka

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