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OFFFフェスティバル 2005

HAPPENINGText: Anna Mentzel, Eduard Prats Molner

3日目の始まりは、トゥーミックスオキュラートによるカンファレンス。両者とも、それぞれ相当な作品を見せてくれた。休憩後は、トロニック・スタジオが手掛けたウェブサイトとモーション・グラフィックのプロジェクトを披露した。


トロニック・スタジオによるアニメーション作品

トマトは、フェスティバルの間、ウェブカメラを用いたワークショップを開催した。ラスという、フェスティバル会場にとても近いブックストアで行われた展示会で、ワークショップでできた作品が展示された。一番良かったのは、たぶん、様々なオーディオビジュアルのインスタレーションと、それに対する様々なユーザーによる反応をまとめたものではないだろうか。影が大きな壁に投射されるという、効果的でいてシンプルなアイディアを使い、ユーザーがそれぞれのサイズで(フォーカスライトとユーザーの距離を調節する)実験できる仕組みになっていた。


トマトのワークショップのデモンストレーション

トマトのプレゼンテーションはとてもユニークで、その2つのインタラクティブアートのインスタレーションは、素晴らしい思いつきによるものだった。


トマトのプレゼンテーション中に行われた影のインスタレーションビデオ

トマトの後は、ネヴィル・ブロディ が、デイビット・カーソンになりきってステージに現れる。『こんにちは、デイビット・カーソンです。今日は、ネヴィル・ブロディの作品を紹介します。昨日は来れなくてごめんなさい。傲慢すぎて飛行機に乗れなかったんだ。』などと言いながら、ネヴィルはプレゼンテーションを開始し、しかしそれはすぐに “違うことを恐れないための改革” についての話に変わっていった。ネヴィル・ブロディは観客に、自分自身でいるようにと訴える。周りが期待するような違う誰かにならないようにと。そして今日の世界を、拡大し過ぎて恐れに支配されている、と批評した。異なる事への恐れ、失業の恐れ、成功にたどり着かないという恐れ、恐れ自体に対する恐れ、などを挙げる。また、デザインが消費者を巧みに扱う道具として使われるアイディアに対しても、大きく批判した。ネヴィルは素晴らしいデザイン作品を披露はしなかったが、内容の濃いスピーチで、私たちを大いに考えさせた。彼は大喝采を浴びたが、そんなに価値のあるものではない、と謙虚に言った。


カンファレンス・ホールにて観客に語りかけるネヴィル・ブロディ

このフェスティバルのカンファレンスも終盤に近づき、残すところあと一つとなったところで、最後は中村勇吾が日本語でスピーチを行い、それをステージ場でスペイン語に通訳するというプレゼンテーションの番になった。英語を話す観客達は、ヘッドホンを取り出し、遅れて伝えられる英語の通訳の準備をはじめる。ホールは満席で、アクセスの妨げにならないように、バーに座らなければならない人もいた。


カンファレンス前に、テクニカルスタッフと調整をする中村勇吾

中村勇吾は、とてもユニークで天才的なインターフェイス・デザイナーである。個人的な作品と、良く知られたコマーシャルの作品(Amaztypeエコトノハなど)の両方を披露した。私たちは、彼の素晴らしいフラッシュを共有しあうという目的の、フォトログ・プロジェクトに圧倒される。このフェスティバル期間中、様々な実験的作品に刺激を受けて来たが、中村勇吾はインスピレーションを形にする能力を持っており、コマーシャル作品の膨大なポートフォリオには輝きがあった。彼は、情報を分類し、様々な方法でビジュアル化するための素晴らしい特徴を、素晴らしいインターフェイスのアイディアに持ち込むマスターである。アイディアを驚くべき形にし続けながら、革新的なインターフェイスの仕事をしている。


中村勇吾のカンファレンスは、史上最大の観客動員数で、外に出なければならない者もいた

これは確かに、私たちがこれまで見て来たものの中で、OFFFフェスティバル史上一番の、最後に相応しいものであった。

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