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ラ・ボカ

PLACEText: Gisella Lifchitz

あるおだやかな日曜日の朝、ブエノスアイレスの近郊の古くから人気のあるスポットの一つ、ラ・ボカへ出かけた時のこと。子供の頃の記憶では、そこはとても不潔で騒々しく、そのため正直あまり期待はしていなかった。そこへ着いた時、そのことが脳裏をよぎったが、しかしその考えは、すぐに驚くほどきれいな川の前で消え去り、ロマンティックな景色が目の前に現われた。誰もが川の前で立ち止まり、景色を描く30人程の人達。私にとって、そこはもう以前イメージしていた場所ではなく、とても良い場所となっていた。

ラ・ボカは、とても多くの歴史を持っている。リアチュエロという小さな川のほとりに位置し、そこは1880年から1930年にかけて、イタリアやスペインから到着した移民達の避難所であった。そのため、港が建設され、新しいアンゼンチンの住人として、彼らはそこで働きはじめたのだ。

ミックスカルチャーは、近隣地域へ新しいスタイルを運んでいった。家は、木と金属シートで作られ、壁は港建設で使用し、残ったペンキで塗られた。その美しい明るい色は、この場所を特徴付けるものとなっている。画家達は写真家以上にこの場所を愛し、毎週日曜には、カミニトという小さな通りで作品を販売している。カミニトは、ラ・ボカの最も象徴的な場所で、観光客が訪れ、音楽とダンスのタンゴを楽しむ場所となっている。

カミニトには、リノベートされた建物、“コンベンティロス” が存在する。それらのうちのほとんどはアートギャラリーやアトリエへとリノベートされた。ブエノスアイレスの前世紀の初めに、失った象徴的な存在であるコンベンティロスは、かつて沢山の部屋を備えた巨大な家であった。そこはまた、タンゴが生まれた場所でもある。タンゴは、もともと売春宿のための音楽として生まれ、居住区に住む労働者にはふさわしくないものとみなされていたが、今日ではとても親しまれている。

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