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ISA

PLACEText: Rei Inamoto

11月は秋の終わりを感じさせる月でもあり、またホリデーシーズンの始まりでもある月だ。多くの人々にとってホリデーシーズンとは、離ればなれになっていた家族が集まり、ゆっくりと過ごす時期のこと。表面上は、そうである。しかし実際は、ショッピングこそがホリデーシーズンが意味しているものではないだろうか。

今年の2月に、プラダがニューヨークのダウンタウンの文化的施設を「乗っ取った」ことについて紹介したが、商業によって過剰な圧力をかけれた文化は、皮肉でもあり、このニューヨーク市でのモダンな生活の中では、避けて通れないことである。例えば、リーバイス・レッド、ポニー、ステューシーといった最近のファッション企業の傾向として見えるのは、1. かっこよく見せる、2. 商品を売る、といった目的の為に文化を商業に持ち込んでいるという点だ。

「ISA」は、ブルックリンのウィリアムズバーグにある小さな洋服店。商業と文化の境界線が曖昧なものに見える唯一の場所だ(ソーホーにあるプラダ・ストアと比べると、その規模はかなり小さい)。棚に陳列されているアイテムは、ミッソーニ、セント・ローレント、マーク・ジェイコブスの商品が主だが、入手困難なビンテージものが多く取り揃えてあり、珍しいドローイングや絵画といったアート作品もある。グッチの手描きのローファーだってあるのだ。この店以外に、ウィリアムズバーグで、このようなまともなアイテムを見つけることがはたしてできるだろうか?

確かに、「ISA」は文化を商業に取り入れていると言えよう。しかし、そのやり方は度を越してはいないし、とても凝った方法ではないだろうか。「ISA」の2003年秋冬コレクションを予告するポスターは今回、白黒の手描きによるものだ。アディダス・オリジナルズ、カティヨン・アデリ、ペイパーといった彼らが扱うブランドを、茶化してイラスト化している。

ある金曜の午後、添付ファイル付きのメールが友達から送られてきた。「A.P.C. オーバーストックセール・イン・ニューヨーク」と書いてあるそのメール。A.P.C.はシンプルなスタイルで知られている、フランスのレーベル。ニューヨーカーの間で人気を高めつつあるブランドだ。その翌日、目的地に到着すると、この寒空の中、列を成している群衆を発見。友人と約1時間待った後、ぎゅうぎゅう詰めの店内に入ることができた(その場所は通常美容室として使われているが、今回は店へと変身)。店を出る時にやっと、カウンターの上に無造作に置かれていたこのポスターを発見したという訳だ。

「ISA」のような店を私が好む理由は、見栄っ張り感があえて欠落しているから。それは、例えば広告として今回使ったポスターを見れば、一目瞭然だろう。彼らがこのスタイルをずっと保ってくれることを望むばかりである。

ISA
住所:88 North 6th St., Brooklyn, NY 11249
TEL:+1 718 387 3363
https://www.papermag.com

Text: Rei Inamoto
Translation: Sachiko Kurashina

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