ディオール・ショップ・ミラノ

PLACE


A curtain of garments runs around the edge of the store, lining the display area which is dematerialized by shafts of light from the floors. Pierre Huyghe’s elongated interior space is both art installation and a changing room.


ファッションと建築の狭間にある共通のアトラクションは何かと言うと、 実際には1970年代から始まったのに、かなり最近の開発としてそれが紹介されている事ではないだろうか。 70年代というのは、 市場の因習的な規制を遥かに越えた先をファッションデザイナー達が注目し始め、彼らのショップのイメージを制作してくれる建築家と仕事を始めた頃である。倉俣史朗と三宅一生のコラボレーションがそれの良い例である。市場の他の部分では、「ESPRIT」が「SOTTSASS」、「CITTERIO」、「FOSTER」等と活動を展開していた。そして今日、「プラダ」は建築の指導者としてレム・クールハースを迎え、三宅一生はフランク・ゲーリーを含む建築家達との仕事を遂行している。


In the centre stands Pierre Charpin’s platform with black leather backrests, hovering above a circle of red light, above.

しかしこれらの2つの局面のバランスは、意外にも不安定なものなのだ。建築界がちょうど今、クールハースのセオリーにリアクションを示し始めたのにも関わらず、動きが速いファッション界はもう既に過去を振り返り、消化し、そしてミラノに登場した新しい「ディオール」のショップのジャッジに取り掛かっている。洋服屋を作ろうとしたのは建築家ではない。建築にまで脚を踏み込んできたのがファッションデザイナーであり、そこにアートも持ち込んだのだ。スターシステムの中心にはファッションデザイナーがいる。そしてそれは、デザイナーの、あるいはブランドの美的ビジョンの薄弱化とは何の関係もないのである。


Hedi Slimane, Dior’s artistic director, was responsible for the architecture as well as the overall image of the company’s first men’s shop, in Milan.

THE LVMH」グループのヘッドがベルナルド・アルオーになって以来、ディオールのメンズウェアの運営はヘディ・スリマネに任されている。スリマネは「LVMH」と「グッチ」の大規模な衝突の真只中に立たされており(そしてこれは、「イブ・サンローラン」によってコントロールされいる)、それ故に報道機関はスリマネをアンチ・トム・フォードのような存在、と描写しているのだ。片方が健康的で、豪華なディスペンサーならば、もう片方はへそが曲がって物を言わない、太陽の光が溢れるカリブ海というよりは、鉛色のベルリンの空の下にいるようなものなのだ。

スリマネのポジションは、彼が初めて発表したメンズウェアによって確固たるものになった。あらゆる企業のトップがパニックを起こしていた。カール・ラガーフィールドとベルナルド・アルノーは方を並べて座っていた。そして「イブ・サンローラン」が珍しく「イブ・サンローラン」というブランドを祝いながらフォードがステージに立っていた、クローンモデルのパレードの為に欠席したその日、その機会が訪れたである。「ディオール・オム」コレクションのアートディレクターしての仕事が、スリマネにとっては初めて活動であり(会社的なイメージに関するものだけではなく、そのブティックの建物にも抑制があった)、それはパリで行われた。


The perception of space is lost in the reflections of light on the surfaces of the long mirror wall and the glass that frames the staircase, right.

ショップにとっては、アトリエがモデルになり、「ディオール・オム」というブランドを世界中に広める事を意味する。最小限だが完璧なディテールによって、ある種の未来派的なオーラが静かなライトから伝わって来、その照明によって空間には非物質的な印象がもたらされる。スリマネがこだわった空気的な現代性があるにもかかわらず、「THE RUE FRANCOIS 1ER」にあるショップの雰囲気は、アトリエの古風な伝統にルーツがあるように思われるのだ。ディオール自身はこれを、彼の現代的な上品さの最上級バージョンへの出発点として捉えたようだ。そしてパールグレー色のモケット(いす張りなどに用いる添毛織物)とディオールの円形浮き彫りが背中の部分になされているルイ14世の椅子は、ディオールが最もクラシックな表現とするオートクチュール会社だということを彷佛とさせるのである。

Pierre Huyghe’s art work in the midst of Slimane’s design raises the difficult issue of the relationship between culture and commerce.

ミラノにある「ディオール・オム」のショップは、この精神を保ち、言及を繰り返しつつも、カルチャーと商業のブレンドを更に進めている。「ディオール・オム」のコレクションにとっての新しい「空間の普及」は、ファッションブランドがそれ自身をそう呼ぶの好むように、アーティストの作品と結びついているのだ。ベニス・ビエナーレにフランス代表として参加し、最近ではカッセルのドキュメンタ11でエキシビジョンを開催しているピエール・ヒューグがこのショップのデザインを手掛け、その空間は、販売のフロアーにある試着室としての役割がある。ブースは奥まった落ち着いたスペースなのだ。まずショップに入ると、客が一番奥の壁に向かって流れるように作られており、それが鏡に反射される。まるでそれは、生まれてから今まで会った事がなかった自分の双子の片方を見るかのような感覚だ。ブースに添って動くのは客の影。狭く長い空間を最後まで歩いてみると、その動きに壁が反応し、その表面が客のジェスチャーの光の中で二重になる。ブースを動くことで、実際には体が無意識に様々な光のビームを横切っているのだ。

Dior Homme in Milan
住所:via Montenapoleone 14, Milan, Italy
TEL:+39-02-76398530
http://www.dior.com

Text: Francesca Picchi from Domusweb
Photos: Andrea Martiradonna
Translation: Sachiko Kurashina

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