ニュー・コミック・フェスティバル

HAPPENING

コミックは、フランスにとって重要な位置を占めるカルチャーの一つだ。しかし、コミック消費におけるその実態は、フランスの本屋の棚を占領しているクラシックなカラー・ハードバック・アルバムの様な厳格なものである。 1990年代、ヨーロッパを襲ったマンガの津波とアメリカからのコミック。この大きな動きによって、アーティストと読者への新しい視野が開けたのは言うまでもない。そしてこれは、昨年中に発生していたコミックの新フォームの出現に繋がっていたのだ。


ヴァレンスにある高校が今回の会場として選ばれ、学校の休暇中に開催された「ニュー・コミック・フェスティバル」。インディペンデントなコミックのものとしては初の試みながらも、即席に作られたと思える装飾に囲まれ、そしてリラックスした雰囲気の中進行されて行った。オリジナル作品が集められたエキシビジョンでは、作者や出版者の人たちとも話すことができた。また、通常ではネット上を何時間も彷徨い、様々な機関を通じてオーダーしなければ手に入れることができないようなレア本を会場で購入することもできた。全てがそこにある、といった感じだ。

セリグラフ(シルクスクリーンによる印画)の雑誌「ストマック」を鑑賞することもできた。たった100部という限定発行であるこの雑誌。様々な製図家によるイラストやコミックをセリグラファーが集め、それらを原本として使用しアレンジ、組み立てていく。種類の違う紙に様々なインクで色づけされているので、実際にその質感を触って確かめることができる。セリグラフィーとリンゴグラフィーがミックスされた駄作の実験だが、極めてリッチで質の濃い結果をもたらしている。

ル・デルニエール・クリ」というレーベルも興味深かった。彼等の作り出す作品は、猛烈でサイケデリック。思想と鮮やかな色で溢れている。「経済的に苦しくなり、また他にやりたいことも無くなってしまったのでパリのアトリエを閉じました。現在はマルセイユを拠点に様々な機関と連係して活動をしています。」と、説明してくれたのはキャロリン・スリー。彼等は本当にプロダクティブなのだ。

「コート・ドュ・ロンヌ」というワインを片手に、ランチはまるでピクニック気分。巨大テントからは、有名な漫画家のマット・コンチュールとカラリのギター演奏が聴こえていた。何人かの作家に、コミックでどう生計を立てているのかを伺うことができた。「ページ数だけを見ると多いように思われるかもしれませんが、30ページから成る本しか制作していません。前作“ル・ボカル”の売り上げはかなりいいのですが、食べていくには同時にイラストも手掛けなければいけません。タダで飲食出来るフェスティバルがあれば、なるべく参加するようにしています」とは、ニコラス・ポウポオンの言葉である。

スーパーシューズ」は、フラッシュで作られたウェブ上でインタラクティブ・コミックを制作しているグループ。彼等のプロジェクトは、インタラクティビティを含んだコミックとアニメーションの間にあるフォームを示唆している。やがては構成の中にいくつかのビデオゲームのパーツを取り込む予定、という彼等。複雑さを増すことだろう。

ぶつかり合い、またはすれ違ったりしている今日のメディア。あなた自身が味わい、共存出来るバーチャル、プラスティックフォームへと導いてくれる、絶えまなく続く対抗意識がそこにはあるのだ。

1st New Comic Festival
会期:2002年3月2日~3月3日
会場:Biblotheque Municipale
住所:8 Avenue Jean Moulin, 26500 Bourg-Les-Valence, France
TEL:04-7582-0010
info@nouvellebd.com
http://www.nouvellebd.com

Text and Photos: Jeremie Cortial
Translation: Sachiko Kurashina

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