ニュー・コミック・フェスティバル 2002

HAPPENINGText: Jeremie Cortial

コミックは、フランスにとって重要な位置を占めるカルチャーの一つだ。しかし、コミック消費におけるその実態は、フランスの本屋の棚を占領している分厚いアルバムの様なクラシックなハードカバーの厳格なものである。 1990年代、ヨーロッパを襲ったマンガの津波とアメリカからのコミック。この大きな動きによって、アーティストと読者への新しい視野が開けたのは言うまでもない。そしてこれは、昨年中に発生していたコミックの新フォームの出現に繋がっていたのだ。

ヴァレンスにある高校が今回の会場として選ばれ、学校の休暇中に開催された「ニュー・コミック・フェスティバル」。インディペンデントなコミックのものとしては初の試みながらも、即席に作られたと思える装飾に囲まれ、そしてリラックスした雰囲気の中進行されて行った。オリジナル作品が集められた展覧会では、作者や出版者の人たちとも話すことができた。また、通常ではネット上を何時間も彷徨い、様々な機関を通じてオーダーしなければ手に入れることができないようなレア本を会場で購入することもできた。全てがそこにある、といった感じだ。

セリグラフ(シルクスクリーンによる印画)の雑誌「ストマック」を手に取ることもできた。たった100部という限定発行であるこの雑誌。様々な製図家によるイラストやコミックをセリグラファーが集め、それらを原本として使用しアレンジ、組み立てていく。種類の違う紙に様々なインクで色づけされているので、実際にその質感を触って確かめることができる。セリグラフィーとリソグラフィーがミックスされた実験集だが、極めてリッチで質の濃い結果をもたらしている。

ル・デルニエール・クリ」というレーベルも興味深かった。彼等の作り出す作品は、猛烈でサイケデリック。思想と鮮やかな色で溢れている。『経済的に苦しくなり、また他にやりたいことも無くなってしまったのでパリのアトリエを閉じました。現在はマルセイユを拠点に様々な機関と連係して活動をしています。』と、説明してくれたのはキャロリン・スリー。彼等は本当に職人なのだ。

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