クナイ=

PLACEText: Shotaro Okada

パリの情報はゆるやかに流れている。そのため、自らが好奇心を持って出掛ないと、キャッチするのを逃してしまいがちだ。
パリを拠点にアートや様々な文化活動を主催、サポートする「クナイ=(cneai=)」を知ったのも、偶然が偶然を呼んだところが大きい。

クナイ=
Benjamin-Valenza, performance, October 20th, 2011 © cneai =

2011年10月、ニーブスをはじめとするヨーロッパ各国の自費出版レーベルが一堂に集うイベント、「サロン・ライト 8」に赴いたのが、ここの活動に興味を持ったきっかけであった。それ以前にクナイ=が所有するスタジオ兼ギャラリーに足を運んだこともあったが(それは確かデザイン書籍に関連したイベントであった)、ヨーロッパの真新しい出版レーベルが集う「サロン・ライト 8」の奥深さに惹かれ、このイベントを主催したクナイ=のディレクターであるシルヴィ・ブーランジェさんにインタビューをお願いする運びとなった。

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Salon Light #8 © cneai =

1997年に設立されたクナイ=の名前の由来は、C; Centre、N; National、E; Edition、A; Art、I; Imprimé(フランス語で「印刷された」という意味)からきている。また、「=」の部分はアーティストやキュレーター、オーディエンスなどの総合的な「余白」を示すという。このしなやかな名前の通り、クナイ=の活動は実に多岐に渡っている。

例えば、「サロン・ライト」は、2009年にブラジルのサンパウロにて「フラワーズ&ブックス」というテーマで、現地のキュレーターとのコラボレーションで行なったという。

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Maison Flottante. Photo: © Paul-Tahon

また2006年以降、パリ郊外のシャトウにて「メゾン・フロトントゥ」というプロジェクトを慣行。これは川の上の船をアーティスト・レジデンスにしたもの。船内にアーティストを住まわせ、定期的にインスタレーションを行なうというユニークな活動を行なっている。さらには、自身のレーベル活動も行なっており、書籍の出版、LP、DVDのリリースを行なっている。今回のインタビュー時には、彼らのDVDを紹介して頂いた。それはDVDがLPのパッケージにDVDが収まったユニークな形のもので、ハンガリー生まれのヨナ・フリードマンの抽象的な映像作品集であった。空間を揺らぐ、ヨナの抽象的な映像と音楽は未だに記憶に新しい。

そして、クナイ=のパリでの拠点が、先に述べたスタジオ兼ギャラリーである。ここは、彼らのブレインといえる場所。地下の事務所スペースには、数多くのイベントのアーカイヴや、これまで手掛けてきた作品が、所狭しと並んでいた。一般に開放された地上のギャラリースペースでは、頻繁にイベントが行なわれ、世界を旅しながら様々な活動を行なうクナイ=の「いま」を知ることができる場所となっている。

佇まいはしなやかに、多くのキュレーターやアーティストを呼びよせては新しいクリエーションを行なう彼らから、ますます目が離せない。

cneai=(クナイ=)
住所:20 Rue Louise Weiss, 75013 Paris
営業時間:11:00~19:00(日・月曜日定休)
TEL:+33 (0)1 3952 4535
cneai@cneai.com
https://www.cneai.com

Text: Shotaro Okada

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