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菅野美術館

PLACEText: Aya Takada

それぞれの小空間はエンボス加工が施された3.2mm厚の鉄板で作られている。これは、内外壁のエンボス部分の突起部分が補強し合う柱を持たない構造となっている。エンボス部分の凸凹が白い空間に、有機的な印象を与える。

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© Kanno Museum Of Art

オープン以来、企画展、コンサート、講演会等を開催し、建物空間と彫刻、そしてアーティストのコラボレーションに挑戦してきた菅野美術館。2006年には本館の建築家でもある阿部氏による「RAINBOW展」が開催され、窓の位置や壁の構成、傾き、仕上げ等を十分に活かし、太陽の位置や照明の光がみごとな虹、レインボーを生み出した。ロダンをはじめとする彫刻に光を当て、他の美術館では表現不可能な展示空間を作り上げた。

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© Kanno Museum Of Art

仙台圏には阿部仁史設計による宮城スタジアムや伊東豊雄設計のせんだいメデイアテークが存在し、全国的な建築発信地としても名を広げつつある。昨年の夏から、建築学科の学生が建築ツアーで菅野美術館にも訪問しはじめている。

7月28日からはデザイナー野老朝雄(ところあさお)による展覧会が開催される。阿部仁史とも交流が深く、本館の空間性を良く理解したデザイナーである。

学芸員齋藤氏に今後についてお伺いすると、『建築の目新しさだけではなく、彫刻のあるべき美しさを強調する独自の空間性を活かしていきたい』と話してくれた。

クラシカルな彫刻とコンテンポラリーな彫刻的建築のコラボレーションは、これからも菅野美術館に普遍的な魅力を与えるに違いない。

菅野美術館
住所:〒985-0042宮城県塩竈市玉川3-4-15
TEL:022-361-1222
アクセス:JR東北本線塩釜駅より徒歩10分、タクシー利用で3分
https://www.kanno-museum.jp

Text: Aya Takada
Photos: Courtesy of Kanno Museum Of Art

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