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ラ・ボカ

PLACEText: Gisella Lifchitz

そこにある全てがユニークである日曜のラ・ボカでは、多くのものを目にすることができる。昼頃には、家族はテーブルに集まり、この地域ならではの “アサド” という肉を食べ、サッカーのテレビ観戦をする。通りでは、あちこちで素敵な景色を背景に、絵描き達がお互いにポートレートを描きあっている。

たまにやって来る旅行者は、道に並べられた絵画、木の家、石の道など全てを見て回ろうとする。それら全てを含め、ラ・ボカなのだ。そして最も素敵なことは、“人がそこに住んでいる” ということだ。

写真を撮るために、女性が家から出てくるのを待っていると、「ラ・ボカは人々が住んでいる場所なのだ」と、改めて感じた。私が被写体として見ていたカラフルな家々は、人々の住む家なのだ。中には、古くからずっと変わらないままの家もある。

ちょっと耳を済ましてみると、日曜の食卓を囲み、テレビの前でランチを食べる家族の声が聞こえてくる。おそらく彼らは、この場所を写真撮影したり、観光したりする意義は理解していない。しかし、それだからこそ、この国のカルチャーの代表になのだろう。彼らこそが、本物の “ポルテーニョ” — ブエノスアイレスの住人だ。

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Gisella Lifchitz

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