ヒーローズクラブ

PLACEText: Kanya Niijima

先日某ナイトクラブを徘徊中、レイバーな若者に声をかけられ、日本のアニメの輸入業をやりたいといった話を聞かされました。そうっす、ここ数年、エッジーな若者を中心にサンフランスコで密かに盛り上がっているジャパニメーション。そんなニホン発のサブカルチャーの中心たるショップ、「ヒーローズクラブ」に今月はチェック入れてみました。

ヒーローズクラブ」。クレメントアベニュー沿いにあるこの小さなトイストアーはその名のとおりヒーローもの全般を扱っています。一見、ただのおもちゃ屋のようなのですが、実際はかなりマニアな雰囲気が漂っていて、とても怪しい。マニアです、マニア。大手の「Toy’r’us」なんか目じゃありません。なかなかこってりとした品揃えなんすよ。こんなとこ通ってたら、知人のねーちゃんに「オタクっぽいー」と言われてしまいました。そんな事いわれた日は、本当に気分が爽やかです。全くもって光栄です。

今回は店員のロビン君にヒーロー論を語ってもらいやした。聞くところによると、この店はかれこれ14年続いていて、ほとんどの製品は日本から入荷。特に、ビンテージ物に力をいれていて、50年代から70年代のヒーロー物を取り扱っているとか。店内を見回すと基本のウルトラマン、仮面ライダー系はもちろん、電人サポーガー、レインボーマン等、そんなの知らねーよと思うような超レア物も見受けられます。ふと値札を見ると、数万円相当の物もあり、凄いやつだと50万から100万円レベルのアイテムがゴロゴロ。

これって、リカちゃん人形コレクターと同じじゃん、とビビってしまいました。そんなコレクターシーンに対して全く無知だったオイラを見計らってか、ロビン君、素人にもよく解るアメリカのコレクターおたく情報を伝授してくれました。

驚くことに、アメリカにおける日本のヒーロー番組は70年代あたりからかなり普及していたらしく、それらを子供の頃観て育った40代のオッサンから20代まで、コレクターの年齢層は比較的高いのだそうだ。中でも興味深いのが、特定の地域によって、放映された番組が異なっていたらしく、それゆえ人気のある番組が全く違うという事。

例えばハワイではキカイダー、カリフォルニアではマジンガーZ、はたまたニューヨークではキャプテンハーロック等の宇宙戦艦ヤマト系が一番人気らしい。『ウチではこれらのデータをマーケティングに利用しています。お客さんの探しているモノによって、その人がどこで育ったか分かるんですよ』と、ロビン君、プロっぽい発言。さすがっす。

このヒーローズクラブ、店内のお客もなかなか恐ろしい。お約束の秋葉原系な格好をした殿方も結構いるんですが、特筆すべきことは、クラバーな若者、スケーター、さらにどこを間違えたのかヤッピーな姉ちゃんまで見受けられます。凄い世界っす。この客層の広さは一体どこからきているのか? 謎が謎を呼ぶのですが、実際に所せましと陳列されたレトロな商品を見ると、その理由が解るような気がしないでもない。

なかなかファンキーなグラフィックが揃っているんですよ。黄金バットやジャイアントロボ等のビデオパッケージはハイ・インパクトなデザインの一言に限りやす。しかもたったの$10。「安い!」と思いつつも今月は超ビンボーなのでパス。と思いきや、そんなボクちんのための激安アイテムもついに発見。仮面ライダーシリーズのカードです。これがまた、かなり下手くそなイラストで、すごく怪しい。色使いやタイプフェイスも流行のレトロ風でさすがの元アートステューデントのゴンタ君もうなるばかり。勉強になるね!と爽やかにながしていました。こんなイカシタものは日本でも手に入らないんじゃないのでしょうか。

ロビン君いわく、日本からの逆輸入のオーダーもしばしばあるとか。うーん、これってビンテージシンセの世界と同じやね。そんなヒーローズクラブ、今後要チェックっす。

HEROES CLUB
住所:840 Clement Street, San Francisco, CA 94118
営業時間:10:00〜17:00(火曜日定休)
TEL: 1 (415) 387 4552
https://www.artoftoy.com

Text: Kanya Niijima

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