レベル・エックス

PLACE


ワールドトレードセンターのテロリストの攻撃によりニューヨークから出ることができなかったため、今月の記事はニューヨーク、ブルックリンからお届けする。
IDM音楽を聞くためにマンハッタン中を出歩きながら、ある晩の帰り道、ウィリアムズバーグのレベル・エックスを発見した。

2000年7月、レコードキャンプを設立した3人の中から、ララとアデッシュの2人が、ブルックリンのベッドフォードアベニューに近い、この新しいスポットについて耳にした時、すべては始まった。当時は、毎週月曜日、サインアップして入場する、オープンターンテーブルナイトが開かれていた。

ニューヨークのエレクトロニック・ミュージックシ−ンにここ数年のめり込んでいた彼らの、最初の公開DJがここで行われた。それから、毎週月曜日に現れた彼らは、彼らだけのために用意されたステージを得るのに、時間はそうかからなかった。彼らは、アデッシュがかつてともに活動していたヒップホップDJのダンとチームを組み、レベル・エックスの月曜通例ステージは「レコードキャンプ」と呼ばれた。初期の彼らの音楽は、ヒップホップ、エレクトロニック、そしてパンクロックをもミックスしたものがだいたいで、たくさんのゲストDJがいつも来て、レコードをまわしていた。2001年のニューイヤーズ・イブに何かやらないかと持ちかけられたとき、大好きで敬愛するDJを招いて、1年で1度きりのこの夜を、共に演奏してすごした。その日のラインアップは、スカイタッカー、オトメ・アンド・DJアウラ(スキマティック、ラップ、アイソフレックス)で、聴衆が詰め掛けた。

今回のニューイヤーズ・イブに、このような成功を収め、彼らは、インディーロックに占領されていた土曜日にも、エレクトロニックミュージックを押し進めていった。
土曜は「レコードキャンプ・オールスターズ」と呼ばれ、より抽象的なエレクトロニックミュージックに焦点を当てた。それぞれのショーでのライブを含め、彼らのはじめての土曜日はダニエルギブンズやゴーサブ!インザハウスといったゲストを迎えた。

レコードキャンプの設立者の一人であるダンが、恵まれない子供たちのための教育ボランティアのために、カリフォルニアを去ったときの、月曜の夜はすでにマンハッタンから河を越えて、パーティー好きな人々を連れてくるのは、きつくなっていた。誰もいないところでの演奏に疲れ、彼らは再びやる気を出そうと演奏日を木曜の夜に切り替えた。ゲストDJが毎週回していると、レコードキャンプはまた客でいっぱいになった。2人ともいつも自分たちの「DJヒーロー」と組もうと努力し、例えばヘフティレコーズ(スリッカー、ベニーズ・オータムスカイ)、ビップホップ(マルマリ、ワームデスク、スラコ、クリクスメイディン)やアザー・ミュージック(コンパクト)をニューヨークのホットスポットへ連れ出した。
レコードキャンプのコンセプトのひとつに、経験の浅いDJに早い出番での演奏機会を与えるということがある。その音楽がレコードキャンプにフィットし、ハードコア・テクノや安っぽいハウスがメインのものでなければ、レコードキャンプのウェブサイトを訪れ、自己紹介をしてくれるのは大歓迎だ。また、自分たちの地域を出て、演奏をしているDJの多くと出会うことができる。そうして彼らは、たくさんの人と知り合い、2、3日だけ街に出て、レコードに埃がかぶらないようにしている。

「全体としてのレコードキャンプは、レコードを購入し音楽の中に引き込まれるというのに近い。」とアデッシュは言う。彼の情熱は、IDMのみならずグラフィックデザインにも注がれている。彼自身は自分のことをDJだとはみなしておらず、お気に入りのレコードをまわしているだけだという。「DJでの問題は、おおくのDJがスタイルを限定し、どんなものでも好きなレコードであれば演奏するという自由を失っていることだ。

演奏するのと同じぐらいに多種多様なレコードを聞く彼は、実験や時にはレコードを差し挟むような事をするのが好きだ。聴衆を熱狂させはしないであろうが、それは彼自身の好みや、彼の気分の表現なのだ。ララとアデッシュの意見では、IDMのパーティーの問題は、みんなIDMの「グレイテスト・ヒッツ」を聞き慣れているので、DJはスクエアプッシャーやボーズ・オブ・カナダといった同じ曲を何度も何度も同じスタイルで演奏するということになってしまう。客がそれを期待しているからだ。

彼ら2人はまさに、レコードキャンプで演奏される音楽の多様性を楽しんでいるのだ。ここ数年を経て、彼らの提供してきた音楽のたくさんの異なるスタイルから学び取った。もし、あなたもこうした音楽的実験が好きなら、2人とも木曜の夜がパーフェクトだと言うだろう。土曜は、普段出歩くような人たちがそんなにストレートにオープンにはならない。ただ、ダンスミュージックをきいてパーティーを楽しみたいだけだ。彼らの哲学でもうひとつ重要なカギとなるのは、「ニューヨークのクラブシーンでとてもヒップなもの」の一部分にはなりたくないということだ。それよりはむしろ、レベル・エックスで演奏される音楽の質というものを知っている人たちに集まってほしいと思っている。70人を超えるゲストDJが、始まってもう2年近くなるこのウィリアムズバーグのジョイントが好きだという、ユニークな雰囲気に表れている。これまで出演したことのあるという人たちのリストには、スキマティックレコーズ、DJらディアス、スカイタッカー、グリース(スキマティックレコーズ)、ベータ・ボデガ、ジェイク・マンデル、マシーンドラム、DJアウラ(ワープ・アイソフレックス)など有名人も名を連ねる。

将来的には、ララとアデッシュ2人ともライブ演奏に集中したいと思っている。エントランスチャージを取らないので、他の土地からのDJを連れてくるためのお金を作るのは大変だ。
来月のプランには、レベルエックスとMP3のポータルサイトからライブストリームで、毎週無名の若手アーティストの演奏を、みんなが聞くチャンスを作るということも含まれている。また、レコードキャンプのサイトを、特集や予定されているイベントにあわせたインタビューなどで拡大し、最終的にはIDMの音楽に愛情を持っている人たちのネットワークを作りたいとも考えている。楽しみなことが山積みだ。

この大都市に来たら、木曜の夜レベルエックスに足を運ぶのをお忘れなく。絶対に、行ってみる価値はある。
来月のアトラクションは、ベータ・ボデガとカーパーク・レコーズ。

The Level X
住所:107 N. 6th street, betw. berry and wythe, Williamsburg, NYC.
Directions: Take the L train from Manhattan into Brooklyn, get off Bedford Ave.

Text: Daniel Goddemeyer from Parasonic
Photos: Adesh Deosaran from Recordcamp
Translation: Naoko Ikeno

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