展示室に入ると、飛行機や電車に乗り込むときのような、旅立ちのワクワク感が一瞬にして沸き起る。ジェフリー・ズム作の「スカイライン」の巨大なパネルには、ベネズエラ、キュラソー島ウィレムスタッドの港に面したカラフルな建物が、穏やかな青空を背景に描かれている。ダークグリーンでデザインされた「ようこそ冒険者達」のセクションは、アンダーソンのダイナミックな映画世界の始まりだ。

「フーサヴィーク灯台」アイスランド、フーサヴィーク © Matthijs Van Mierlo (@matthijsvmierlo)

パステルピンクの壁とアーチに囲まれた「回想」をテーマにしたセクションは、海や広々とした風景など、休息とリラクゼーションのためのノスタルジックなロケーションに来場者を導く。マリー・バレンシア作の「熱気球」は、毎年開催されるニュージーランド、ハミルトンのワイカト気球フェスティバルを、紫の空を背景に美しい黄色、さび色、茶色で描いている。マタイス・ヴァン・ミエルロによるアイスランドの「フーサヴィーク灯台」は、同様に、淡く平らな雲と山の景色を照らす色の対比効果を使ってアイスランドの冬の空への想像力を広げてくれる。

「ヴィッカース・ヴァイカウント」イギリス､ロンドン © Paul Fuentes (@paulfuentes_photo)

黄色で統一された「旅」をテーマにしたセクションは、来場者を飛行機、電車、バス、バイク、その他の交通手段の乗客になりきらせる爽快なインスタレーション。窓から見える雪に覆われた山頂の感動的なビデオクリップは、アンダーソンの映画「ダージリン急行」（2007年）からインスピレーションを得ている。ポール・フエンテス作の「ヴィッカース子爵」は、ジョージ・エドワーズ卿が設計し、1948年に英国のエンジニアリング複合企業であるヴィッカース・アームストロングスによって初めて飛行されたターボプロップ旅客機で、AWAでも人気のある写真だ。

「新幹線」「JR」東京都、日本　© AWA (@accidentallywesanderson)　Photo: Alma Reyes

日本からは、パステルカラーのブルーとグリーンがとても素敵な、どちらもAWAの撮影による「新幹線」と「JR」は、制服を着た車掌と青、青緑、フクシア色の列車による構図が素晴らしい。