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レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

HAPPENINGText: Alma Reyes

男性を主題とする作品と女性を主題とする作品の双方において、形式上および表現上の平等を獲得しようと試みたことにより、シーレはフェミニズムを強く具現化した作家であると言われている。「女性像」の章に足を踏み入れると、強烈な性的エネルギーにのみ込まれるが、顔と身体の線に見られる強く押し当てた激しい筆触によって生々しい美が立ち現れる。肖像画の女性たちは、内に秘めたる欲望を肉体的、感情的に発露させた愉悦と自信に満ちた姿で描かれている。


エゴン・シーレ《悲しみの女》(1912年)油彩/板、レオポルド美術館蔵

謎めいた《悲しみの女》(1912年)には、シーレのモデルであり恋人であったワリー・ノイツェルの悲愴な表情が描かれている。彼女の肌は青白く、頬はこけ、大きな瞳は明らかに涙でうるんでいる。よく見ると、ワリーの頭越しに微かにシーレの顔が描かれており、その目の周りは赤褐色で囲まれているが、この色は本来ワリーの髪を描くときの特徴である。翻って、ワリーの髪には自身の髪の色によく似た黒を施した。シーレ自身の思考とその狂気にワリーが支配されており、そして自身が彼女に計り知れない嘆きを与えていることをシーレは示唆している。このイメージの二重性は我々の心をかき乱すとともに、彼らの複雑な関係性を暗示している。


エゴン・シーレ《母と子》(1912年)油彩/板、レオポルド美術館蔵

また、この章の小さな肖像画《母と子》(1912年)は、キリスト教絵画の聖母子像を想起させる。しかしそこに神々しい空気感はなく、過酷な世界を目の当たりにして恐れおののいているかのような子どもの表情と、それに対して当惑したように子どもの方に視線を下げる母親の表情が印象的である。暗闇の中で際立つ深遠な表情の二つの顔と二つの手。指でこの肖像画を描き、絵の具がまだ乾かぬうちに指紋を残したと言われている。シーレの母子像の多くは、平和や愛ではなく、死や不安と手をとり合う。

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