デザイナート トーキョー 2022

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

去年に続き、有楽町駅〜新橋駅間の300mの高架下空間に昨年誕生した、日比谷OKUROJI(オクロジ)で空間を活かした様々な作品を見ることができた。日比谷OKUROJIは、100年の歴史を持つ明治生まれの煉瓦アーチを生かした高架下空間で、飲食店を中心に雑貨店などが軒を並べている。


古舘壮真「MASS-2022-」(⽇⽐⾕OKUROJI)© Nacása & Partners

クマ財団2期生で、今回「UNDER 30」に選出された、 空間内に存在するあらゆる関係性に着目し、独自のアプローチでデザインやアートワークを行う古舘壮真は、デジタル上で引き起こされる非現実的な要素をヒントに制作したインテリアエレメンツ群「MASS-2022-」を展示。


野村仁衣那「Life Through Holes」(⽇⽐⾕OKUROJI)© Nacása & Partners

同じく「UNDER 30」に選ばれた野村仁衣那は「Life Through Holes」を展示。微細な穴で物体の表面を埋め尽くす緻密で繊細な作品はSNSなどでも注目を集め、多くの来場者がひっきりなしに訪れていた。


「再生工芸展」(渋谷東急プラザ)© Nacása & Partners

また、会期中には、昨年も人気を見せた「再生工芸展」が、舞台を新たに渋谷の東急プラザにて開催。再生工芸は、オクノテと、加飾紙の製造・販売を行う湯島アートを発起人としたプロジェクトで、使われなくなったものや本来捨ててしまうものを、「一点もの」を作り出す伝統工芸の力で再生し、もう一度暮らしのなかに蘇らせることを目的としている。

今年は新たに、のれん染め、金工、漆、金継ぎ、江戸切子、いけ花など、さまざまなの伝統工芸の担い手とデザイナーが賛同。花器やアクセサリー、アート作品にいたるまで、多種多様な作品が展示された。

全体を通して、今年のデザイナートはコロナ禍の影響を感じつつも、街には活気が戻りつつあるように思えた。一方、局所的にはクラスターが発生するなど、まだ混乱は続くのだろうか。来年こそはアフターコロナのイベントとして来場できることを期待したい。

DESIGNART TOKYO 2022
会期:2022年10月21日(金)〜30日(日)
エリア:表参道・外苑前・渋谷・原宿・六本木・広尾・銀座
主催:デザイナートトーキョー実行委員会
http://www.designart.jp

Text: Taketo Oguchi
Photos: Nacása & Partners Inc. Courtesy of DESIGNART TOKYO

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