デザイナート トーキョー 2021
HAPPENINGText: Taketo Oguchi
前述のインフォメーションセンターからもほど近い、表参道の複合商業ビル、ジャイルで行われていたのは、シャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ」とオーストリア・ウィーンを拠点にプロダクトや家具、キネティックアートを手掛けるカテリーナ・ミシャーとトーマス・トラクスラーからなるデザイナーデュオ、ミシャー’トラクスラーのコラボレーションによるインスタレーション。
ペリエ ジュエ × ミシャー’トラクスラー「I am Nature」(ジャイル)Photo Courtesy of Perrier-Jouët
日本で世界初お披露目となった「I am Nature」は、デジタル技術を用いた体験型の新作アート作品。水彩画で描かれたチョウやアオムシ、ミミズなどの無数の命の姿が象られ、モニターを備えたウォールに装飾されており、ペリエ ジュエを象徴するアネモネの花を形作っている。ウォールの前に人が近づくと、その人のシルエットが数多くの種類の植物や昆虫の水彩画によって象られた「自然の姿(I am Nature)」になって浮かび上がるというもの。
ペリエ ジュエ × ミシャー’トラクスラー「Curiosity Cloud Mobile」(ジャイル)© Nacása & Partners
もう一つの作品「Curiosity Cloud Mobile」は、樹木の枝のような構造体の先端に30ほどのグラスバルブが吊るされたもの。その中に閉じ込められたメタルで象った昆虫が人の気配で音を立てて飛び回る仕組みになっている。昆虫は、19世紀末に絶滅した中米のウラニア・スロニウスというチョウや、世界各地に広く生息し、野原や花畑で見かけるヤマキチョウなど、様々。これら両作品は、人々に驚きや気付き、人間と自然との相互関係を考えるヒントをもたらす。
ペリエ ジュエ × ミシャー’トラクスラー「Curiosity Cloud Mobile」(ジャイル)© Nacása & Partners
作品が展示された場所は、ジャイル内に今年新しくオープンしたジャイル フード。ガストロノミーレストラン、カフェ・デリ&バー、グロッサリーショップなどからなる「循環」をテーマとした1,000m2にも及ぶ空間は、フランスを拠点に活動する建築家・田根剛が手掛けたもの。田根が手掛ける日本においてはじめてのレストランということで、以前から気になっていた場所であった。
このように、建築やインテリア、家具などと、アート作品や最新デザインを、食事やお茶と一緒に楽しんだりすることができるとういうのがデザイナートの醍醐味だ。
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