NIKE 公式オンラインストア

菅原圭輔

PEOPLEText: Ari Matsuoka

この間に心境の変化はありましたか?

以前までは思いついたアイディアを次々と形にしていましたが、ロックダウン以降は、自分で計画して作品一つ一つの密度を重要視するようになりました。また、このコロナ禍で沢山のアーティストと関わる機会も増えたので、その場の空間全体をより意識するようになりました。

あと、これまでは自分のアイディアや意見をそのまま押し通す我の強さがあったんですが、今は脚本から演出まで全てを手がけることも多くなってきたので、共演する相手や一緒に制作するアーティストの持つ個性や色をちゃんと見ていこうと思うようになりました。

今はとにかくコラボレーションすることに興味が湧いています。依頼したものを台本通りに仕上げてもらうというよりも、一つの抽象的なテーマを挙げて、アーティストとコミュニケーションを交えながら一緒に作り上げていくことに面白さを感じています。


“2379”, Performance at Theaterhaus Berlin Mitte in Berlin, 2019   Photo: Bermd Kumar   © Keisuke Sugawara
Direction: Keisuke Sugawara   Performance: Takayoshi Tsuchida and Keisuke Sugawara   Music: Tatsumi Ryusui

関わる人が増えれば増えるほど他者を受け入れることを難しく感じませんでしたか?

確かにハードルは高いです。でも、自分の思っていた枠からはみ出していくことは、決して一人ではできません。思い通りに作品を作り上げることは簡単ですが、完成したものは自分の予想の範囲内でしかありません。他者を交えることによって、良いか悪いかは置いておいて、作品自体が、より大きく、躍動のある面白いものへと生まれ変わることがあるんです。こういった考えもロックダウンを経て芽生えたもので、「主観する」「客観する」を繰り返す日々だったように思います。


“mellem to – en mand, der sidder navnløs, en kvinde med en Lanterne -(虚無の人。灯を持つ人。)”, 2019

2021年10月に日本で行われる舞台『空谷の跫音くうこくのきょうおん』について教えてください。

空谷の跫音』は、2020年より創作を始めた「mellem to」プロジェクトの第二作品目『Lige så stille…』(*)からスピンオフとして派生した舞台作品です。
*デンマーク語で「静かに」の意で、「自己の確立」と「他者との関係性」に着目した舞台作品。 初演を2021年2月にデンマーク・オーデンセで、3月にドイツ・ベルリンで発表を予定していたが、コロナで公演延期。

日本公演を行う本作は、クリスティーナ・ディケアと菅原圭輔に加えて、ドイツを拠点に活動する音楽家の坂本真の3名が欧州より来日し、9月より日本で滞在制作、そして、10月23日・24日の2日間に渡って作品の発表を行います。また、本作品にはゲスト・アーティストとして俳優の土屋良太(劇団・トレンブルシアター主宰)をむかえ、演劇とダンス、音楽の生演奏を織り交ぜた総合的な舞台作品の制作を行います。

新型コロナウイルスによる被害は現在も多数の人々に影響を与え続けています。それでも私は芸術の持つ力を信じて、10月に日本で公演事業を実施しようと決めました。そして、その機会を「文化活動の創作と発表」のみで終わらせてしまうのではなく、社会のためにも何かしらアクションを起こしたいと考えます。 この活動をきっかけに沢山の方々とお互いに良い関係を築き、今後の活動も含め協力し合える体制を作り上げたいと願っています。

舞台『空谷の跫音』
日時:2021年10月23日(土)18:00〜、24日(日)14:00〜 & 18:00〜
   *オンライン配信も同時開催予定
会場:神楽坂セッションハウス
住所:東京都新宿区矢来町158
チケット料金:3,000円
出演:菅原圭輔、クリスティーナ・ディケア(ダンサー)、坂本真(音楽家)
ゲスト・アーティスト:土屋良太(劇団・トレンブルシアター主宰)
脚本・演出:菅原圭輔
制作:MOLS magazine、Myrtle Arts

企画:mellem to project

主催:トレンブルシアター

共催:神楽坂セッションハウス

助成:EU・ジャパンフェスト日本委員会

後援:デンマーク王国大使館

協賛:beans farm、BridgeBamboo、knew as new、Roots Project Tokyo、オトナリ珈琲、佐藤農場

舞台『空谷の跫音』はただいまクラウドファンディングにチャレンジ中。

Text: Ari Matsuoka
Photos: Miho Yajima, Bermd Kumar © Keisuke Sugawara

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE