デザイナートでは、昨年からの取り組みとして、アメリカやヨーロッパなど各国で実施されている社会全体でアートを支える運動「1% for Art」（公共建築の1%をパブリックアートの費用に充てる制度）の法制化を目指している。

鈴木康広の作品「渋谷の方位磁針｜ハチの宇宙」（ミヤシタパーク）© Nacása & Partners

渋谷に誕生した新しいランドマーク、ミヤシタパーク（新宮下公園）内に、デザイナートのプロデュースによって、鈴木康広の彫刻作品「渋谷の方位磁針｜ハチの宇宙」が今年７月に恒久的なパブリックアートとして設置された（※）。代表作である「ファスナーの船」や「空気の人」をはじめ、鈴木は身近なものに新鮮な切り口を与える作品によって、ものの見方や世界のとらえ方を問いかける活動を続けている。

※「渋谷の方位磁針｜ハチの宇宙」は「1% for Art」によるものではありません

田村琢郎の作品「Lovers」（シークエンス ミヤシタパーク）© Nacása & Partners

ミヤシタパークからシームレスにつながる、「シークエンス ミヤシタパーク」の４階エントランスフロアでは、デイジー バルーンによる作品「Joining」と、田村琢郎の作品による２つのカーブミラーが絡まり合う作品「Lovers」が展示。パブリックとプライベートが交差するこの場所で、普段パブリックにあるカーブミラーがプライベートな空間へとつないでいく。

また、今年は各展示会場を自宅に居ながら見ることができるオンライン展覧会や、出展者の取り組み事例や活動などを紹介するプレゼンテーション動画の公開、など様々なオンラインでの施作も行われた。

コロナ禍の状況下での開催となった今年は、やや規模が縮小されたものの、オンライン施策が充実したことで、タッチポイントが拡大し、オンラインでのアクセスが増えたという。また、各会場では消毒や検温、密を避けるなどの感染拡大防止策が徹底され、安心して訪れることができた。年末を迎えても、未だ不安な状態が続くが、少しでも早く生活が元どおりに戻れることを祈りながら、来年の開催を楽しみにしたいと思う。

DESIGNART TOKYO 2020
会期：2020年10月23日（金）〜11月3日（火・祝）
エリア：表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・代官山/六本木/新宿/銀座
主催：DESIGNART TOKYO 実行委員会
https://www.designart.jp