志津野氏が繰り返し足を運び、交友を深めているスペイン・バスクの人びとが映し出される。世界一の美食の街と言われるこの街では、レシピだけではなく住人同士が未来へのビジョンを共有し合い、町全体のレベルを高めているのだという。

© CINEMA CARAVAN

美味しいもの、楽しいこと、良いアイディアを共有し、共に高め合うこと。これはバスクの人びとだけに限らず、本来人間が持つ本能的な行動であるはずだ。世界中の人びとのまっすぐな笑顔が映し出されると、希望へのファンファーレのように音楽が鳴り響き、客席からは自然と手拍子が湧いた。

エピローグを飾るように、ステージに腰掛けたUAがアカペラで名曲『水色』を歌い上げる。全てを包み込むような歌声が会場を暖かく包み込み、公演は幕を閉じた。

「Play with the Earth」逗子公演 2020 リハーサル風景より © CINEMA CARAVAN

大地の上で遊び、集い、笑う世界中の人びとの姿と、古来から転生を繰り返してきビートと音楽の調和。私たちはどこから来て、この地球で何をしていくべきなのか。本公演にはそうした問いに向き合うためのヒントが散りばめられていた。

仲間と旅を続け、様々な人や文化を知り、自然に敬意を持ちながら豊かに生きる。そうすることで多様な表現が生まれ、人を笑顔にできるということ。「Play with the Earth〜地球と遊ぶ」を自ら実践するCCによる、どこまでも純粋な表現は心の深い部分に残るものがあった。

様々な“当たり前”が崩れている2020年は、社会問題や地球環境への向き合い方や人びとの価値観も変容し始めている。地球が大きな転換期を迎える今だからこそ、先駆者である彼らから学ぶべきことが多いのではないだろうか。

Play with the Earth 逗子公演 2020
日時：2020年10月10日（土）19:00〜
会場：逗子文化プラザなぎさホール
住所：神奈川県逗子市逗子4丁目2-10
料金：前売り2000円　当日2500円
https://playwiththeearth.com