レフィック・アナドル展「潜在する歴史」

HAPPENINGText: Victor Moreno

足を踏み入れたアナドルの作品によって壁全体が覆われた390平方メートルの展示室。監視システムの中で作動する8つのプロジェクターによる映像は、かなり強い印象を与え、彼の作品に抱きしめられている感覚がある。さらに、部屋がエレベーターのように上下に移動する映像効果により、建築、写真、テクノロジーの境界を曖昧にし、他では存在しなかった新しい宇宙を創り出している。


Photo: Victor Moreno

アナドルの研究作業は、彼が作った“アルゴリズム洗濯機”に対する各ピクセルの反応に焦点を当てているにもかかわらず、テクノロジーの使用を作品と組み合わせたいくつかの驚くべき結果を掘り下げている。それらの結果として、彼はそれらを“フレーム間予測の幻覚”と呼ぶ。彼は記憶やイメージ、そしてこの場合はストックホルムの街からの歴史的なイメージを使うことで、街の新しいビジョンを創り出している。『これらの機械で幻覚化されたイメージは集合的な記憶や隠された歴史の層、そしてさもなければまだ見えぬままの街の簡潔さを表すようになる』とアナドルは説明する。


Photo: Victor Moreno

しかしながら、時が来る。自然と人工の違いがどんどん小さくなっていくよりも、自然の重大さがあまりにも退けられる時が。多くの作家、学者、アーティスト、映画監督などが自然と人工とのこの関係について研究してきた。人類よりもさらに早く確信することになる作品は両方間の違いを見つけることはできないだろう。そう、彼が「自身の人生を変えた」という映画ブレードランナーの世界のように。

Refik Anadol “Latent History”
会期:2019年7月6日(土)〜8月25日(日)
時間:9:00〜21:00
会場:フォトグラフィスカ
住所:Stadsgårdshamnen 22, 116 45 Stockholm
TEL:+46(0)8 50 900 500
info@fotografiska.se
https://www.fotografiska.com

Text: Victor Moreno
Translation: Moeko Noguchi
Photos: Courtesy of the artist, © Refik Anadol

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