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PEOPLEText: Noriko Ishimizu

4月24日から始まる京都大学総合博物館の展覧会に出品する作品についても伺えますか?

宮崎:今回は、グループ展なのですが、直接自分たちの手で作るという感じの作品ではないんですね。

今回の条件というのは?

松本:今回の会場は、「博物館」。タイトルは「タイムライン ―時間に触れるためのいくつかの方法―」です。

宮崎:「時間」というものがテーマになっているんです。

松本:井田照一さんという70年代から活躍していた版画を中心とした作家の未発表作品を含めた展示も、目玉の一つです。井田さんは、ミクストメディアの作品を作っていて、その素材の耐久性はそれぞれ違い、一枚の作品の中でも様々な素材の持ついろいろな時間軸が複合的に合わさっています。体液やカビてしまうようなものを使っていたり、石が紙に貫入してあったり、すぐボロボロになってしまうような、そういう危うい作品群があって、そういう作品と一緒に展示されます。
我々のメンバーにも現実世界から離れたノーボディーの人間が一人いますし、実際の時間軸は、日々明日が昨日のように来るとか、定量的に時が刻まれていくような感じではなく、もっと複雑に様々な時間の尺度が入れ組んでいるじゃないかということを常に思っているんですね。

宮崎:16世紀のラメッリの書架が、300年後に全く違った形でインターネットという形で現れてきたように。

松本:そういったものが我々に大きな示唆を与えてくれていて、そういう意味では、「数百年前のものでも生きていると」いう言い方もできると思います。複雑な時間軸の中にいる我々が、どういった制作物を提示できるだろう、というところがコンセプトになっています。

井田さんの作品をどう見せるか、ということも含まれてきますか?

松本:井田さんの作品を併置するので、その展示の仕方をどのように汲み取るかということも、コンセプトの一つにありますね。

宮崎:もちろん、それだけではないですよ。他の参加者の人たちもそれぞれ考えていると思いますけれど、僕らはそういうところに引っかかって。

松本:今回の作品では既存の事物を並置させて、その時間的な差異だったり、同一性を見せられないかということをやろうとしています。ですから、今回は自分たちが手を動かして作るという感じではなくて、並置させた物をどう見せるか、という仕組みを作っているところです。

宮崎:僕らの中で、今までになかったアプローチですね。自分たちの仕事をもう一回外から見て、既存の事物という違うものに置き換えている感じが強いのかな。

それは企画者側が提示してきた条件の影響もありますか?

宮崎:条件から出てきたアイディアかもしれないけれど、やるとなったからには条件から逆算されたもの以上の面白さがあると思わないとやらないので。自分たちのコンセプトから出てきたものとして、みんな受け取っていると思っています。

AAICもそうだったんですね。

宮崎:そうですね。いつもそうです。

松本:厳密には条件から、というわけではないのですが。

宮崎:条件を組み込まないと、作品が自立しない。というか、「中にものを入れました」みたいな感じになってしまって、その場でやる意味がなくなってしまうんですね。

松本:多分、インスタレーションという意識ではないんです。ですが、インスタレーション的な一過性は常に組み込まないと、作品として成立しないという意識もある。なので、AAICもそうだったですけれど、「あれ、インスタレーションなの、どうなの」と言われると、うーんとなる。

宮崎:ちょっとムッとしちゃうよね(笑)

松本:でも彫刻かと言われると、「ただ持ち込んだだけじゃないし」という気持ちにもなるので……、複雑なんですよ。ただ一過性だけを目的とした設置の仕方はしていなくて、そういう側面もあるという感じですね。

最後に、大賞を受賞したときの反響をお聞かせください。

松本:とにかく周りが喜んでくれたのが、今も印象に残っています(笑)

交友のあるアーティストの方達ですか?

松本:そうですね。谷口暁彦さんとか津田道子さんとか。アーティスト同士って、仲が良かったり、同じテーマを共有しているような作家同士であっても、ある種ライバルなのでそういった人たちから祝福されると素直に嬉しいですね。照れ臭い感じですが(笑)

現在、AAIC2020は作品募集が行われている。第2回開催となる今回のテーマは「記憶のゆくえ」だ。応募期間は5月13日までとなっている。興味のある方は作品条件などの詳細を公式サイトで確認し、応募してみてほしい。

清流の国ぎふ芸術祭「Art Award IN THE CUBE 2020」
第二回テーマ:記憶のゆくえ
会期:2020年4月18日(土)~6月14日(日)*開館日50日間
会場:岐阜県美術館(岐阜市宇佐4丁目1-22)、岐阜県図書館(岐阜市宇佐4丁目2-1)
主催:清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 実行委員会、岐阜県
http://art-award-gifu.jp

Text: Noriko Ishimizu
Photos: Azumi Kajiwara, Courtesy of the artist © Milksouko The Coconuts

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