ミルク倉庫+ココナッツ

PEOPLEText: Noriko Ishimizu

他の作品からも、ミルク倉庫+ココナッツの活動コンセプトを伺っていきたいのですが、2016年に3331で行った展覧会「家計簿は火の車」は、どのように条件を作品に落とし込んでいったのですか?

松本:「3331 Art Fair 2016」で受賞したことで行うことになった展覧会で、「アートフェア会場内に露天商を作る」というところが一つコンセプトだったんですね。その時に重要視したのが、作品をどうやって見せるかということです。

宮崎:アートフェアの時は、個人や複数人のグループの小さい作品を沢山作って、露店の商品として売ったんです。

西浜:俳優さんに頼んで、売り子をやってもらったり。


「金の次第」(2016)アーツ千代田3331 © ミルク倉庫+ココナッツ Photo: 石川卓磨

松本:「個々の作品をどうやって展示するか」という見せ方自体もコンセプトの一つで、アートフェアの中にもう一つ市場を作るメタ的な展示をしました。なので、個展では会場にただ展示するのではなく、展示什器をいくつも作って、そこに個々の制作物を並べるといいんじゃないかと。

宮崎:そう、展示什器自体が作品になっています。


「家計簿は火の車」(2016)アーツ千代田3331 © ミルク倉庫+ココナッツ

松本:展示のシステムを含む見せ方ができないかということが一つあったんですね。

宮崎:その装置は、16世紀のヨーロッパでアゴスティーノ・ラメッリが作った回転式書架をベースにしています。

西浜:ザッピング的に本を読めるようにしたシステムですね。

松本:僕らは、ザッピング的に作品を見られるようにするという。

坂川:ラメッリの回転式書架の水平軸に呼応する、垂直軸の装置も設計して作ったり。


「家計簿は火の車」(2016)アーツ千代田3331 © ミルク倉庫+ココナッツ

松本:そう、垂直方向の回転と連動して、水平に回るような什器も作りました。

宮崎:ラメッリの書架は、初期のインターネットのひな型というか、テキスト同士をハイパーリンクで繋ぎながら読む装置だとも言われていて、海外の方では再現したりしている人もいますね。

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