「音のアーキテクチャ」展

HAPPENINGText: Victor Moreno

展覧会に参加しているのは素晴らしい作家ばかりで、楽しさは保証済みだ。「ギャラリー1」ではコーネリアスのスタジオライブ映像が3つの壁に映し出されている。「ギャラリー2」ではステージのようになっており。複数の映像作品がステージの壁と床に映し出され、パーティーをしているような感覚になる。まさに3次元で音楽と映像を体感でき、デジタルアートの世界に浸ることができる。

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Hiroaki Umeda “in fibrils” Photo: Atsushi Nakamichi (Nacása & Partners Inc.)

梅田宏明による作品「in fibrils」は、イメージ(光)を背景などに用いた作品。細い白黒で映し出される筋肉繊維が、音楽とシンクロして鼓動する。彼はこの「筋繊維」を音楽と対峙させ、瞬間の音の動きを表現した。どんな些細なサウンドも形をなし、その美しい動きは見るものを魅了する。

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Koichiro Tsujikawa (GLASSLOFT) × Bascule × Kitasenju Design “JIDO-RHYTHM” Photo: Atsushi Nakamichi (Nacása & Partners Inc.)

辻川幸一郎(GLASSLOFT)× バスキュール × 北千住デザインによる体験型アート作品は実に楽しかった。この作品は、「音楽を聞いている自分」を映し出す、携帯アプリ作品で、自分の姿にビジュアルエフェクトが重なる仕組みだ。顔の動きなどで様々なエフェクトが現れ、鼻から血が出たり、虹が頭の上にかかったり、頭が3Dのキューブになったり、顔が歪んだり、、、そしてその全ては音楽とシンクしている。実際のアプリは、こちらからダウンロード可能だ。

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Yoriko Mizushiri “airflow” Photo: Atsushi Nakamichi (Nacása & Partners Inc.)

水尻自子は2Dのアニメーション作品で本展に参加した。ソフトなパステルカラーの色使いが特徴的な彼女の作品はとても魅力的だった。くすぐったいような触感に着目した彼女の作品は歌詞とも連動し、ユーモアに溢れ、官能的、そして逸脱的な動きを線で表現した。柔らかい素材のもの、例えばティッシュや寿司などが、音と連動して動く。手足の指がそれらの柔らかいものに触れ、雲のような形に変わってゆき、最後にはナイフになり、指の柔らかさに切り込んでいく。

参加作家は、稲垣哲朗、梅田宏明、大西景太、折笠 良、辻川幸一郎 × バスキュール × 北千住デザイン、勅使河原一雅、水尻自子、UCNV、ユーフラテス。

「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」
会期:2018年6月29日(金)〜10月14日(日)
開館時間:10:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
住所:東京都港区赤坂9-7-6
入場料:一般1,100円、大学生800円
TEL:03-3475-2121
https://www.2121designsight.jp

Text: Victor Moreno
Translation: Chinami Oda
Photos: Nacása & Partners Inc. Courtesy of 21_21 DESIGN SIGHT

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