アートベルリン 2017

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

ただしアートフェアのコンセプトが変えられても、アートベルリンでアーティストに焦点を当てる企画性を持たせた展示がなかった訳ではない。例えば、その例に挙げられるのはPSMギャラリー。商品となる作品で満たされた他のギャラリーとは対照的に、通路の様な暗がりの空間に、僅か一点の作品のみを展示している。それは、アウスト・アンド・ウォールサーの作品。ここでは、その小さな作品に光を当てて、背景の暗闇とのコントラストを演出することで、アーティストの世界観を壊さない展示に成功していた。

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PSM © art berlin

また、スプルース・マーガースのブースでは緑色の布を使った壁を設置して、その空間をヨーン・ボックの映像、オブジェ、ドローイングなどで満たしていた。それは商品となる作品がブースを満たしているわけではない。ブース全体が一つの作品と化しているのだ。アートフェアであれば、コレクターが購入しやすい小型の作品が多く展示されるため、アーティストの持つ特性やその美学など失われてしまうことも多い。そして作品でなく商品の印象を与えることもある。ただし、いくつかのギャラリーでは一人のアーティストに焦点を当てることで、それを感じさせないようになっていた。

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Jonn Bock © art berlin

今回アートベルリンでは、多くの出展ギャラリーが従来のアートフェアに見られるスタイルで参加していた一方で、abcで見られた様なスタイルでの展示も見られた。そのため、今回は作品の購入だけでなく充実した展示を楽しむことができるものとなっていた。ただし、今後のアートベルリンの姿に不安が無いわけでない。アートフェアのフォーマットに収まるだけでは、世界中から美術ファンを引きつけることはできないだろう。一方、オルタナティヴのスタイルだけでは作品の販売は中途半端に終わってしまう。何より多くのアートフェアが乱立するなかで、独自性を打ち出せなければならない。こうした状況の中で、いかに魅力的なアートフェアを行えるか、来年開催されるアートベルリンの舵さばきに期待したい。

Art Berlin 2017
会期:2017年9月14日〜17日
会場:STATION – BERLIN
住所:Luckenwalder Straße 4 – 6, 10963 Berlin
http://artberlinfair.com

Text: Kiyohide Hayashi

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