アートベルリン 2017

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

多くの参加ギャラリーの中で強いインパクトを与えていたのは、ノイギリウムシュナイダーのブース。その展示スペースには巨大な木が聳えており、美術作品が並ぶホールの中に異空間を作り出している。これは政治的な作品で知られているアイ・ウェイウェイの作品。

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Ai Weiwei © art berlin

ノイギリウムシュナイダーでは他にもリクリット・ティラバーニャやサイモン・スターリングなど名だたるアーティストを展示していたが、特に存在感のあるアイ・ウェイウェイの作品がアートフェアで注目を集めていた。この様に有力ギャラリーでは著名なアーティストの作品が揃っており、本アートフェアは多数の有名アーティストの美術作品を鑑賞及び購入できるものとなっていた。

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art berlin Schlechtriem © art berlin

そもそもベルリンで著名なアーティストの作品の販売を目的としたアートフェアが無かったわけではない。かつては作品に販売に焦点を当てたアートフォーラムと呼ばれるアートフェアが存在していた。abcはアートフェアでありながら、それに対抗する形で企画性を持たせた展示や、アーティストに焦点を当てた展示を行っていたのだ。つまり、ベルリンには一般的なアートフェアと独自性を持ったアートフェアと、二つのスタイルのものが存在していた。しかし2011年にアートフォーラムが終了してから、ベルリンからメインストリームのアートフェアが失われ、オルタナティヴとしてのabcが開催され続けることになったのだ。

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art berlin © art berlin

今回のabcからアートベルリンへの変化はベルリンで有名アーティストの作品を販売したいギャラリー、それを購入したいコレクターの願いでもあった。しかし、それによって他にはない個性的なアートフェアがベルリンから失われることも意味する。一般的なアートフェアは、バーゼル、ニューヨーク、ロンドン、そしてパリなど世界各地にある。しかしabcの様な個性的なアートフェアはほとんど見られないだろう。それはベルリンの美術界が持つ個性でもあり、独自性でもあるのだ。今回の変更はこうした特徴をベルリンが失ってしまう恐れも考えるだろう。

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