ミュンスター彫刻プロジェクト 2017

HAPPENINGText: Ray Washio

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荒川医の「Harsh Citation, Harsh Pastoral, Harsh Münster」

LWL美術館はミュンスター彫刻プロジェクトの中心地となっている美術館である。シュナイダー作品が位置するのもここだ。ここには他にも、屋外にジョン・ナイトの水平器をモチーフとした作品「John Knight, A Work in situ」が設置されていたり、館内にはマイケル・ディーンの「Tender Tender」も常設展と合わせて展示されていたりする。レンタルサイクルや公式グッズの販売所などもこの近辺に集中しており、田中功起の「Provisional Studies: Workshop #7 How to Live Together and Sharing the Unknown」もこの近くに位置する。一方で、外れに位置する作品群は一つ一つが離れて位置している印象で、例えば荒川医の「Harsh Citation, Harsh Pastoral, Harsh Münster」は湖畔の先に位置する最も離れて位置する作品の一つであった。以前から取り組んでいるLEDを使用した彫刻作品だ。自転車でないとアクセスできないような場所であるため、生い茂る草むらの中突然現れる電子機器群という体験を生んでいる。牧歌的な雰囲気の土地に不釣り合いな造形が並ぶ様が他の作家の作品と比べ、どこか異彩を放っていたように感じる。

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アイシェ・エルクメンの「On Water」

他にもアイシェ・エルクメンの「On Water」は自然豊かなミュンスターならではの作品といった印象だ。この作品は鉄骨の台のようなもので底上げされた川を渡って歩くことができるというもの。今年のミュンスターは天候が芳しくないらしく、夏期であったにも関わらず、気温も上がらず少し肌寒い日が続いたそうだ。だが間違いなくこの作品には人が押し寄せており、列こそなかったものの大勢の参加者で賑わっていた。周辺のカフェも人で溢れかえっており、この作品も今回の一つの見どころであったように感じた。

ミュンスター彫刻プロジェクトは近年の日本の地方芸術祭のサンプルとして見ることができる。今回のプロジェクトの中でもそういった日本との類似点、つまりオリジナルとしてのミュンスターが散見された。個人的それを強く感じたのはミカ・ロッテンバーグの「Cosmic Generator」だ。この作品は、すでに閉店しているアジアの食品を扱うショップを舞台に、店の一室で映像が上映されているというインスタレーションであった。映像自体もアジアを舞台にしたものだ。過去に店であったところを、そのままの文脈で扱っている様子は日本の芸術祭でも見られる特徴だ。本当に製品が置かれていた場所であるため、匂いや汚れなども残っており、空間としてのリアリティーを感じることができた。監視員の方もできるだけアジア系の女性で行うように努めているという。他にも、ワグネル/デ・ブルカの「Bye Bye Deutschland! Eine Lebensmelodie [Bye Bye Germany! A Life Melody]」という作品も、古めかしいダンスバーの中で、ミュンスターを舞台としたコミカルなミュージカルテイストの映像が展示されているというものであった。こちらも空間との親和性が非常に高く、映像と展示空間の状況を並行して楽しく観ることができた。そのバーでは実際にドリンクを注文することもでき、ビール瓶片手に鑑賞している人もちらほら見かけることができた。

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