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CAF賞選抜展 2017

HAPPENINGText: Alex Hiroki Coles

ここからいつくか個人的に注目した作品をピックアップして紹介する。

宮城県出身で山形県在住の田中望(1989年生まれ)は、生活や儀礼の取材を元に新しい祭りを作りだすようにして絵の題材を決め、日本画の手法を取り入れた絵画を制作している。

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「ハレノノヒ」, © 田中望, 2012年

本作品「ハレノノヒ」に登場する沢山のウサギの様々な動きは、画面に視覚的な美しさをもたらすだけでなく、鑑賞者を大きな物語の世界へ引き込む。精巧に描かれた彼女の作品は、驚きと発見を繰り返しながら見る楽しさがある。

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「None」, © 戸嶋優多, 2016年

16歳の時に俳優としてデビューし、役者としても活動、その後、大学では彫刻とアニメーションを専攻という経歴を持つ、横浜育ちの戸嶋優多(1993年生まれ)の「None」は、3Dプリンターを使った人型の立体作品。小さいながら独特の存在感を放っていた。

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「No Job」シリーズ, © 富田直樹, 2016年

茨城県生まれの富田直樹(1983年生まれ)が継続的に取組んでいる油彩の肖像画シリーズ「No Job」は、雑誌などで見つけた、いわゆる定職を持たない若い“フリーター”を「新しく何かが始まる可能性や希望」の象徴として“0号”のキャンバスへ描いたもの。絵の具を厚く重ねていく技法が特徴的で、その厚さの違いにより陰影がうまれ、作品に変化をもたらしている。

本展の魅力は、若手アーティストの作品の素晴らしさだけではない。ある特定の時期にだけ持てる新鮮さや伸びやかさと、その才能を育成するという、ふたつの熱に触れることができるのだ。それは鑑賞者に、日本における現代アートの未来に充分な希望があることを実感させてくれる。

CAF賞選抜展 2017
会期:2016年11月19日(土)〜2017年1月9日(月)
会場:ホテル アンテルーム 京都
住所:京都市南区東九条明田町7番
TEL:075-681-5656
https://gendai-art.org/caf_kyoto/

Text: Alex Hiroki Coles
Translation: Keiko Orikasa
Photos: Nobutada Omote, Courtesy of Contemporary Art Foundation

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