スートラ

HAPPENINGText: Kengo Michizoe

シェルカウイは、武術で興味深いと思うのはエネルギーが爆発し放出される瞬間だと述べる。それまでの静寂を打ち破った鍛え抜かれた武僧たちの大迫力の群舞は、まさしく「エネルギーが爆発し放出される瞬間」そのものであった。舞台はこの「静」と「動」の繰り返しによって構成されていく。

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Photo: Yuriko Takagi

舞台に箱を登場させるアイディアは舞台美術を手がけるアントニー・ゴームリーによるものだ。この箱を使いシェルカウイと武僧たちは、要塞や大きな蓮の花、宿舎のベッド、帆船、巨大なドミノなどを次々と表現していく。

舞台の序盤、いくつもの箱を組み合わせ、迷路を表現するシーンがある。これは観客を作品世界に引き込む迷路の入り口という意味があるようで、他にも様々なイメージを連想させるものがあった。

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Photo: Yuriko Takagi

シェルカウイはこう言う。

『カンフーのありふれたイメージを見せたいとは思っていませんでした』
『ただ作品のすべての動きの中に少林拳の要素は存在しているのです』
『私はそこに新たな要素を加えて観客に見せたいのです』

舞台の序盤、私が見せられたのは「少林拳」であったように思う。しかし、舞台の終盤、クライマックスに見せられたのは、それはもう「少林拳」ではない新しい別のものに変化していた。舞台の序盤で、シェルカウイが仕込んだ迷路に入り込み、そして舞台の終盤で抜け出した時には、シェルカウイが意図した世界に完全に引き込まれていた。振付家であるシェルカウイによって「少林拳」が芸術として昇華される瞬間を「sutra」で目の当たりにしたのであった。

sutra(スートラ)来日公演
会期:2016年10月1日(土)開演14:00・19:00、2日(日)開演13:00
会場:Bunkamura オーチャードホール
住所:東京都渋谷区道玄坂2−24−1
TEL:03-3477-5858(パルコ)
http://www.parco-play.com/web/play/sutra2016/

Text: Kengo Michizoe

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