阿部典英

PEOPLEText: Ayumi Yakura

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中央「ネェ ダンナサン あるいは 壇」2001年, 3,500 x 4,000 x 2,200 mm, 木(セン・シナ)・アクリル絵具・黒鉛/両端「ネェ ダンナサン あるいは 木花」2002年, 1,000 x 1,000 x 2,300 mm, 木(セン他)・鉄・油性ペイント・黒鉛 「阿部典英のすべて ー 工作少年、イメージの深海をゆく」2012年, 北海道立近代美術館

美術を通した国際交流を長年続けていらっしゃいますが、特に80年代の札幌でトリエンナーレを開催されていた事に驚きます。

北海道と本州の間には津軽海峡があります。我々の若い頃は、北海道の公募展で受賞してから、東京の公募展に応募するというレールに沿うのが定説でした。でも「それは違う、北海道札幌はなぜ直接世界へ発信するということができないのか?」と考え、当時若かった仲間で話し合いました。

当時、美術館の人には「国際展を開くには三千万円かかる」と言われました。第一回の「サッポロトリエンナーレ」は1981年に開催したから、今から35年前です。インターネットなんて一切ない時代。全3回で終了したけれど、その時の手紙や資料は一冊の本にまとめて「国際展は民間でもできる」という記録を残しました。

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「1979 ART TODAY 1989 / SAPPORO TRIENNALE 1981・1984・1987」1990年, TODAY編

振り返って、苦労してもやって良かったと思われることは何でしょうか?

その時からの友達が世界各地にいて、僕が海外で活動できるのはその時の関係が土台なのです。今年の10月に中国ハルビンの黒龍江省美術館で開催される「阿部典英と北海道作家展 in ハルビン 2016」(仮題)には、僕の作品を100〜150点出品する他に、自分も含めて10人の北海道作家の作品を出すことになっています。僕らがやったことを若い人に繋げば、また違う道が開かれるかもしれない。これからの北海道の美術の前進のために、願いを込めてやりたいのです。

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「ネェ ダンナサン あるいは月・影・漂 ー 阿部典英てん」2015年, 網走市立美術館

大学で美術教育に尽力されていた時、美術を学ぼうとする学生に対してどんな先生でありたいと思っていましたか?

自分の経験からして「表現ってこんな堅苦しいものなの?」と考えさせたら魅力がなくなるから「いろいろなことがあるんだよ」と教えていました。子どもの泥んこ遊びくらい一生懸命な気持ちを失わずに表現できたら楽しいでしょう?必ずしもそれだけじゃ片付けられない問題もありますがね。

昔は友達と酒を飲んだら皆「いやー俺は天才だ!」「なんでもできる!」とか言って。ところが、その天国みたいな気持ちが、ガクンってスランプで壁に当たったら地獄。若い頃はやっぱり「早く受賞したい」とか思っているから、「俺はなんでできないんだ」と地獄へ突き落とされる。表現者というのはその繰り返し。

でも、今はそういう事が何もない。自分の好きな事がしたい。自分が好きな事を表現したいと思っています。

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「ネェ ダンナサン あるいは 北・天・翔」2012年, 2,500 x 5,500 x2,600 mm, 木・パルプ・経木・酢酸ビニール・アクリル絵具, 「阿部典英のすべて ー 工作少年、イメージの深海をゆく」2012年, 北海道立近代美術館

近年は、2003年に札幌芸術の森美術館で「阿部典英展 豊饒なる立体」、2012年には北海道立近代美術館で「阿部典英のすべて ー 工作少年、イメージの深海をゆく」、さらに市立小樽美術館、札幌宮の森美術館、網走市立美術館などの美術館でも大規模個展を開催されていますが、ベテランでありながら「工作少年」と呼ばれてどう思われましたか?

嬉しかったよ!美術館で付けてくれたんだ。昔のまだ何にもない頃から、すべて遊び道具は自分で作るしかなかった。今もその気持ちを忘れずに生活しています。

今の阿部少年(77歳)に、将来の夢はありますか?

子どもの頃に疎開していた島牧村も、移住した小樽市朝里川温泉も、後志(北海道の日本海側)にあるでしょう?「このあと」と言う時に、後とはこれから先の事を指すので、後志は「後を志す」と書いて「先を志す」という意味に考えています。

自分の作品というのは、自分の扉を開けないと生まれない。だから「後志」という心を忘れずに、これから何枚、自分の扉を開けて作品にできるかという事に興味があります。自分の心の扉は自分にしか開けられないから、自分自身がこれからどんな作品を創るのか楽しみにしています。ありがとうございました。

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阿部典英 個展「ア・ラ・カルト」

会期:2016年7月2日(土)~9月16日(金)
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2西2 ミートラウンジ
主催:クロスホテル札幌(企画課 011-272-0051)
キュレーション:クラークギャラリー+SHIFT
協力:まちなかアート
http://www.crosshotel.com/sapporo/

「阿部典英と北海道作家展 in ハルビン 2016」(仮題)
出品作家:阿部典英、荒井善則、柿﨑煕、笠見康大、樫見菜々子、佐藤潤子、末永正子、武田浩志谷口明志、林亨
会期:2016年10月3日(月)~11月5日(土)
会場:黒龍江省美術館
住所:哈尔滨市道里区地段街97号
TEL:0451-83152297
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Text: Ayumi Yakura

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