ギャラリー・ウィークエンド 2014

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

ギャラリー・ウィークエンドのハイライトの一つは国際的に活躍するアーティストの展示だろう。例えば、ブッフマン・ギャラリーが見せるヴォルフガング・ライプの展示。蜜蝋、米、ミルクといった自然素材を作品に使用することで知られるアーティストは、今回は蜜蝋を使用した作品を見せている。ギャラリーに設置されたのは白く細長い構造物。シンプルで取り立てて特徴の無い構造物には入り口があり、薄暗い内部へと入ることができる。そして中に漂う強烈な蜜蝋の匂いで、初めてこの構造物が何で作られたかが判るというもの。このように自然素材の素材感を生かすアーティストは今回もその特徴をいかんなく発揮していた。

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Wolfgang Laib, Ailleurs – La chambre des certitudes, 1997, beeswax, wood Inner dimensions: 324 x 78-120 x 485 cm, Courtesy the artist and Buchmann Galerie Berlin, Photo: Roman März

他に多くの注目を集めていたのは、スプルス・マーガースでのペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイスの展示。国際的に活躍するアーティストはその名声に違わぬ素晴らしい展示を見せた。ギャラリーに設けられたのは中に入ることができない部屋。室内には木片やタイヤや椅子といった様々なものが見える。実物に見えるこれらの展示物はポリウレタンで似せて作られたもの。「レディメイド」と呼ばれる既製品を美術作品として見せる手法があるが、ここでは既製品に見せかけた手作業によって作られた作品を見せている。美術史に登場する手法を応用するユーモア溢れる作品だが、作品がそもそも何なのかを考えさせる印象深いものとなっていた。

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Peter Fischli / David Weiss, Eine Ansammlung von Gegenständen, 1982-2013, Polyurethan, painted, Dimensions variable, installation view, ‘Eine Ansammlung von Gegenständen’, Peter Fischli David, Weiss, Sprüth Magers Berlin, May 2 – August 30, 2014, Copyright Peter Fischli / David Weiss, Courtesy Sprüth Magers Berlin London

このように世界各地で紹介されるような世界的なアーティストが見ることができる一方、若手の才能あるアーティストの展示も見ることができる。

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UNTITLED (HOW DOES IT FEEL), 2014, 2014, Full HD Video, colour, sound, 8:20 min, loop, format variable

中でも印象に残ったのはギャラリー・カムシモン・デュブレー・メラー。彼はビデオと共にインスタレーション作品を展示している。映像では様々な機材を用いて食品を撮影する様子や、撮影された写真がパソコン上で処理される様子を映し出す。こうした映像を通じて、広告などで見かける食品写真が現実とはかけ離れた非現実なものであること感じさせる。同時に食べることができない食品サンプルの実物を室内に並べ、何が現実かを問う挑発的な展示となっていた。

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