ポンピドゥー・センター・コレクション展「フルーツ・オブ・パッション」

HAPPENINGText: Maaru Hiyama

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ジェイソン・ローズ「ボーブールの雌猫」 2004 © The Estate of Jason Rhoades
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Georges Meguerditchian, Dist.RMN-GP

ジェイソン・ローズはアメリカの芸術家である。「ボーブールの雌猫」と題される作品は「愛の街」や「ムール貝」といったフランス語をネオンにしている。しかし、この17の言葉全てフランスでは女性の陰部を表す隠語である。また、ボーブールという場所がポンピドゥー・センターの位置する地域というのもまた皮肉的である。この悪趣味なシャンデリアにつながれた赤い電気コードも圧巻である。

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ツェ・スーメイ「エコー」 2003 © Su-Mei Tse

ツェ・スーメイはイギリス人の母と中国人の父を持つ。両親は共に音楽家のため彼女にとって音楽はもしかしたら美術よりも表現しやすいツールなのかもしれない。「エコー」は作家である彼女自身がチェロを弾き、そのやまびこを体感するものである。まるで自然を切り取ったような時間を体感でき、芸術作品ではあるが心が穏やかになる音の力を感じる。2003年の第50回ヴェネチア・ビエンナーレの際にこの作品を含む彼女の個展がルクセンブルグ館で開かれ、金獅子賞を受賞した。

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エルネスト・ネト「私たちはあの時ちょうどここで立ち止まった」 2002 © Ernesto Neto
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Georges Meguerditchian, Dist. RMN-GP

エルネスト・ネトはブラジルの美術作家である。彼は、まるで動き出しそうな有機的な作品で有名であるがこの作品は視覚だけではなく、嗅覚を使って鑑賞するものである。垂れ下がる果実のようなものの匂いはクローブ、ウコン、胡椒。ぜひ、実際に訪れて体感していただきたい。

情熱の裏には必ず何かしらに対する繊細が必要である。この展覧会では作家の情熱と繊細が一緒に感じ取れる。常設展も素晴らしいので、ぜひセットで楽しんでいただきたい。また、安藤忠雄の設計した兵庫県立美術館も素晴らしい共鳴を見せてくれることだろう。

ポンピドゥーセンター・コレクション展「フルーツ・オブ・パッション」
会期:2014年1月18日(土)~3月23日(日)
時間:10:00~18:00(金曜、土曜20:00まで)
休館日:月曜日
会場:兵庫県立美術館
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番地1号
観覧料:一般1300円、大学生900円、高校生・65歳以上650円、中学生以下無料
TEL:078-262-0901
https://www.artm.pref.hyogo.jp

Text: Maaru Hiyama

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