周春芽(ジョウ・チュンヤ)

PEOPLEText: Hiromi Nomoto

あなたは制作活動の他に「五彩基金」を行っていますね。これについて教えて下さい。

2008年に四川で巨大な地震がありました。多くの犠牲者が出ました。命が助かった子供たちは手足を失い障害者となりました。私はアーティストとして何ができるかを考えました。初めのうちは彼らに食べ物や洋服を与えました。その後、アートのクラスを設けることにしました。子供たちにアートを教えるのは若いアーティストたちです。彼らに絵を教えて、彼らが美術大学を受けるのをサポートしています。彼らは絵を描くことに没頭し、その間は心理的な問題を忘れます。そして技術を学ぶことができます。これは彼らが将来的に仕事を探すときに役立ちます。

青海地震(2010年に青海で発生した地震)でも子供たちが障害を負いました。彼らが仕事を探すのに役立つようにタンカ(チベット伝統の仏画の掛け軸)を学ぶクラスをつくりました。彼らが制作したタンカの展示も行いました。以前は地震が原因で障害者となった子供だけでしたが、その後は他の障害を持つ子供も対象としています。

これらはとても現実的な方法ですね。彼らに技術を学ばせることには、物を与えること以上の価値があります。

仕事とは自尊心です。自分の労働によって収入を得るのはいいことだと思います。同情によってではなく、彼らが自分自身の力でデザインしたり創作することが一番です。四川大地震から数年が経ちました。子供たちの中には、デザイン会社に入り他の人たちと一緒に働いている子もいます。

どのように運営しているのですか?

初めは私が出資していましたが、他のアーティストたち(以前取材した、シュエ・ソンディン・イも活動に参加している)も賛同してくれ作品を持ち寄り、オークションを毎年行っています。コレクターたちは多くのアーティストの作品を落札してくれました。アーティスト自身はもちろん無償です。

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五彩基金学生の李丹

アートを学び始めた子供たちの反応はどうですか?

とても大きな変化があり、多くの物語が生まれました。私は病院のICUで彼らに会いました。当時の彼らはみな18歳ほどです。可愛らしい少女は両足を失い、人生に対して悲観的になっていました。彼らには心の休息が必要でした。機会があれば、展示で彼らの顔を見て下さい。今年は4つ展示を計画しています。アートを通して、彼らを助けるとともに、精神的な力で励ましています。

いつか彼らの中からあなたのようなアーティストが生まれるかもしれませんね。

それはとても嬉しいですね。そうなれば彼らの影響力で、障害を持つ子供たちの状況は更によくなります。もしそうならなくても、彼らに新たな希望が生まれれば、それでいいのです。

Text: Hiromi Nomoto
Photos: Courtesy of the artist © Zhou Chunya

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