「マハト・クンスト(アートを作る)」展

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

確かに美術界の中心に位置する著名なアーティストを美術館が紹介することは重要である。また未知のものに多くの労力を払うのは簡単なことではない。実際に本展で語るに足らない作品が多くあったのも事実だ。しかし効率を優先して美術界の中心国や巨匠ばかりに焦点を当てることは、美術の枠組みを狭めることになってしまう。

美術とはヨーロッパやアメリカのリアリティーのみを反映するものではない。キャリアを積んだアーティストのみが作り出すものでもない。何より現在の「美術」の枠組みに収まる必要は全く無いのだ。それに対して美術界の新興国や若手アーティストやアマチュアに光を当てることは多くの可能性を秘めている。なぜなら美術の枠組みを広げて新しいものを生み出すかもしれないからだ。そう、ドイツ銀行クンストハーレは美術の枠組みを広げて、その新しい可能性を見せることに挑戦しているのだ。

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Photo: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

ドイツ銀行クンストハーレが開催した僅か24時間の展示は賛否両論を巻き起こしたが、最終的には成功に終わったと言って良いだろう。展示を訪れた6000人を越える人々。そして、作品の受け入れ期間に集まった2000点を越える応募作品はその証拠だ。当初は展示室に収容可能な作品数を先着順に受け入れる予定だったという。しかし大きな反響により全ての作品を受け付け、本展で展示できなかった作品はドイツ銀行クンストハーレ主催により別会場で展示を行うことになった。

展覧会の名は「Macht Kunst Part 2」。同じく24時間のみの展覧会となっている。その展示がドイツ・グッゲンハイム美術館に代わる役割を果たすことを期待したい。何より美術の枠組みの広がりや、それによる新たな可能性を生み出すことを願わずにはいられない。

Macht Kunst
会期:2013年4月8日(月)~9日(火)(24時間)
会場:Deutsche Bank Kunsthalle
住所:Unter den Linden 13/15 10117 Berlin
https://www.deutsche-bank-kunsthalle.de

Text: Kiyohide Hayashi
Photos: Mathias Schormann © Deutsche Bank KunstHalle

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