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リール 3000

HAPPENINGText: Valérie Douniaux

テオ・マーサーの世界が広がる不穏なエントランスの向こうにはニック・ケイヴによる「サウンドスーツ」という奇妙な軍隊、眼鏡をかけたゴースト、煙草を吸うガイコツ、皮をはがされた馬…。それに加え、再利用の布からつくられた繊細なニットの彫刻的なコスチュームと装飾品なども展示されている。

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Nick Cave. Photo: Courtesy of Lille 300

流れているビデオではそれらが実際に動いているところを見ることができるのだが、まるで奇妙な動物たちがトランス状態で歌ったり踊ったりしているようだ。トリポスタルの上階では他の展覧会のビデオも流れているのだが、そこまで時間をかけてみる人はいないだろう。残念ながらそれほどこのビデオが関心をひいてやまないのである。

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Nick Cave. Photo: Courtesy of Lille 300

しかしながら最も心動かされる作品というのは、おそらく最もシンプルなものでもあるのだろう。物理的に小さい物からも叙情的なものを表現することができることを我々に教えてくれるのはクワクボリョウタによる作品で、ミニチュアの電車が日常の雑貨の間をゆっくり走っていく、というものだ。塵かごや定規、空き箱のようなものが部屋の暗がりに置かれ、電車のライトがそれらの影をまるで魔法の灯のように壁に描き出される。塵かごは建物や山となり、空き箱は近代都市を創りあげる。

リールのパレ・ド・ボザール(リール宮殿美術館)でも同じく、聖書を表現した現代アートの展示会や、極めて古典的なフランドルの風景寓話の興味深い展覧会などにも参加している。以前貨物運送の駅だったサンソベールでは現在、家族向けに構成された遊べるイベントを人気の芸術文化センターが企画している。ゴースト・トレインや他にも楽しい驚きが沢山用意されている。

今回の新しい「リール 3000」のタイトルはあらゆる空想行為に同じている。そしてアーティストにも観客にもユニークなきっかけを与え、お祭り騒ぎの中で想像力を自由に広げさせる。クリスマスの時期に魔法を加えたり、祝日のお楽しみにスパイスを足したいと思っているのなら「リール 3000」は最高の手段となるだろう。

リール 3000
会期:2012年10月6日(土)〜2013年1月13日(日)
会場:リール市内各所
TEL:+33 (0)3 2852 3000
https://www.lille3000.eu

Text: Valérie Douniaux
Translation: Eiko Kondo

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