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ア・セレブレーション:英国現代彫刻展 ブリティッシュアートの70年

HAPPENINGText: Michael Sullivan

ギャラリーに入るとデビッド・マッチによる全体がマッチ棒で制作された「ベティ・ブープの頭」に必ず目が行ってしまう。昔のアニメさえアートになってしまう。ベティ・ブープがテレビで放映されなくなった今も社会の心理にキャラクターが生きている事に、アートを通して気づかされる。

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Betty Boop, David Mach, 2011, Matchsticks, 47 x 41 x 30 cm, Ed. 4

その近くでは卵形に削られた大理石の彫刻がパースペックス(英国の航空機風防ガラス用の透明アクリル樹脂)の台座にのっているステファニー・カールトン・スミスによる「ラブ・ビギンズ」だ。抽象的な彫刻でそのタイトルと作品自身の関係、またはアーティストのメッセージを考えさせられる。

同じ部屋にエドワード・パオロッジによる小さな銅像作品「ホース・ウィズ・アナトミー」がある。複数の箇所の皮が無く、中の筋肉が見える様になっている馬の形の作品だ。

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Fighting Cocks, Elisabeth Frink, 1987, Bronze, 66 x 84 x 30.5 cm, Unique

エリザベス・フリンクの「ファイティング・コックス」は一羽の雄鶏が倒れ込んで勝利者を見上げる相手の鶏の前に勝ち誇った様子で立っている様子を表している。人間にも置き換えられるであろう作品は野生を象徴すると同時に英雄を偶像化する人間の愚かさも表現されているかの様だ。

部屋の後ろの方ではリン・チャドウィックの「ステアーズ」が置かれている。この大きな作品では3段の階段と2つの女性の形がある。一人は上り、一人は下がっている。どちらも両腕が無く、ピラミッドの様な頭をしている。一見、階段に居る人の様であるが、それは人間ではなく、それぞれが各自の方向に向かい、孤独感を表している。リン・チャドウィックの作品は下の階でも見る事が可能だ。

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Ironed Out I, Peter Randall-Page, 2009, Iron, 29 x 41 x 64 cm, Unique

メインギャラリーから下りたこの階でもアンジェラ・コナーズ、レーチェル・シュワルムやピーター・ランドル・ページなど多くの作品を見る事ができる。

この展覧会で見る事のできるアーティストは素晴らしく、その作品は感銘を与える。全ての作品は販売されているが、見るだけでも価値のある物と言えるだろう。ギャラリーはブリティッシュアートのもっとも優れた作品を展示するという難題を目的に、彫刻をほめたたえるこの展示や、次回のアーティストのレイ・リチャードソンによる展覧会など、ギャラリーがその目標を達成している事が表れている。

ア・セレブレーション:英国現代彫刻展
会期:2012年6月27日(水)〜9月1日(土)
時間:10:30〜17:30(土曜日11:00〜14:00)
休館日:日曜日
会場:Beaux Arts London
住所:22 Cork Street, London W1S 3NA
入場無料
TEL:+44 (0)207 437 5799
info@beauxartslondon.co.uk
https://www.beauxartslondon.co.uk

Text: Michael Sullivan
Translation: Meiko Maruyama

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