第15回 文化庁メディア芸術祭

HAPPENINGText: Yu Miyakoshi

「冬が来て春が来て、という季節の移り変わりを見たことがないので、見てみたかった」という日常的な好奇心を可視化させた片山義幸の「つながる天気」はアート部門で優秀賞を獲得した。

作者は日本大学芸術学部映画学科で映像を学んだ後、現在はフリーの映像デザイナーとして活動中。仕事ではクライアントワークもこなすデザイナーだが、「自分でできる新しいことをやりたい」と2010年からオリジナルプロジェクト「つながる天気」をスタート。

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「つながる天気」© 片山義幸

ウェブサイトに、空を映した1年分の動画を一本にまとめた映像や、時刻や日付と実写のアニメーションを連動させた作品などを発表した。「どこにでもある景色、どこにでもある日を繋ぐことによって見える僕らの日常の姿を表現したい」と語る作者の、仕事とプライベートの間にあるものを大事にしている姿勢が印象的だった。

アート部門ではこのほかに、インタラクティブな操作性が評価されたVincent MORISSETの「BLA BLA」や、アーティストのラルフ・キスラーとエンジニアのジャン・シーバーから生まれたサルのインタラクティブアート「Monkey Business」、菅野創山口崇洋によるドローイングマシン「SENSELESS DRAWING BOT」などが優秀賞に選ばれた。

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「SPACE BALLOON PROJECT」 大八木翼 / 馬場鑑平 / 野添剛士 / John POWELL © SAMSUNG ELECTRONICS JAPAN

エンターテインメント部門で大賞を受賞したのは「SPACE BALLOON PROJECT」。広告などのクリエイティブディレクター 大八木翼、馬場鑑平、野添剛士と、JP AEROSPACE社のCEOであるジョン・パウエルで結成されたチームは、スマートフォン「GALAXY S II」をバルーンに乗せてアメリカ・ネバダ州から上空30,000mの成層圏へ飛ばし、フライト模様をUSTREAMで配信。

フライト中は、スマートフォンの画面にツイッターなどで募集した「宇宙へ届けたいメッセージ」を表示させた。オフィシャルサイトからは昨年の7月に生中継された映像を、第13回メディア芸術祭でアート部門優秀賞を獲得した和田永が属するプロジェクト「オープンリールアンサンブル」や高木正勝坂本美雨などの音楽と共に見ることができる。

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