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ドープ・ジャムス・レコード

PLACEText: Yuji Shinfuku

彼らは「スロウ・トゥ・スピーク」というレーベルを運営している。一応ブートレグ(海賊版)という体裁になるようなのだが再発専門のレーベルで、ダンスミュージックという枠にはとらわれず単純に彼らの好きな音楽を再発するものである。今までに60〜70タイトルのリリースがあるようだが、ロックなどが中心でサンタナ、マイケル・ジャクソン、パティ・スミス、スマッシング・パンプキンズなど誰もが知っているようなアーティストの(又そうではないアーティストの物も含めて)名曲や隠れた名曲を、彼らのチョイスによって最高の音質でレコードシングルとして聴く事ができる。

ただマニアックな再発をするだけではなく、もっとベーシックに立ち返り、そしていい音楽を埋もれさせるのではなくもう一度日の光を当てようという様な、彼らの音楽に対する姿勢を感じられる再発になっている。他にこのような形の再発をしているところはあまりなく非常に興味深い物になっている。そのレーベル内の「コア」というシリーズではダンスミュージックに特化した再発を行っていて、そちらも今までなかなか手に入りずらかったような音源が復刻されていて注目を集めている。

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© Dope Jams Records

彼らへのインタビューの最中繰り返し語られたのは、レコード店の状況も含めて今のニューヨークのシーンには満足しておらず、絶望さえしているということだ。好きなレコード屋、好きなDJがいないから自分達でやろう。いいパーティがないから自分達でやろう、レーベルもやろうというとてもDIYな精神にあふれたお店である。彼らのコマーシャルとは一線をかくすコアなノリはそんなインディペンデントなスタンスから生まれているようだ。

店のある場所も周りにお洒落なお店が建ち並ぶ様なエリアにあるわけでもなく、どこにも属そうとしないある種アウトサイダー的なスタンスのお店ともいえるのかもしれないが、それは閉じているのとは違う彼らの音楽に対するこだわりに起因するもので、スロウ・トゥ・スピークの再発をみれば分かるように全ての音楽を愛する人に対して開かれている場所だと思う。今のシーンのどこにも無理に属そうとしない独自なスタンスは、彼らの意図せずしてニューヨークの新しい方向性をつくっているように見える。

インストアイベントも頻繁に行っていてこれまでに前述のジョー・クラウゼル、カリスマ的人気を誇るデトロイトのハウス・プロデューサー、ムーディマン、同じくデトロイト出身の世界をまたにかけるテクノ・プロデューサー、DJのジェフ・ミルズなどそうそうたる面子が過去にプレイしている。彼ら自身のイベント「LIFE」は月に一回行われている。毎回盛況を博しているこれらのプレイはドープ・ジャムスのウェブサイトでノンストップでインターネット・ラジオとして流れているので興味を持った方は一度聴いてみる事をお勧めする。そしてニューヨークに行く事があれば是非お店に出向きその空気を肌で感じてもらえたらと思う。

Dope Jams Records(ドープ・ジャムス・レコード)
住所:580 Myrtle Ave, Brooklyn, New York, NY 11205
営業時間:12:00〜21:00(日曜日19:00まで)
定休日:月曜日
TEL:1 718 622 7977
https://dopejams.pinnaclecart.com

Text: Yuji Shinfuku

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