「中国映像芸術 1988-2011」展

HAPPENINGText: Emma Chi

一般的に中国では1990年代に映像、写真、インディペンデント映画のような形態のアートが絶頂期を迎えたと考えられていますが、これについてあなたの考えはどうですか?

90年代の中国前衛アートは主に2つの段階に分けることができます。前期と中期は主にインスタレーション、パフォーマンス、写真や映像などのメディア上の表現における広範囲な実験と使用が行われました。90年代後期になると中期で実験した全ての手段を用い、社会や文化批判のようなテーマが表現されました。

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では中国の映像芸術の開拓者は誰でしょう?

早くから映像を用いたアートを実践していたのはジャン・ペイリーです。彼は1988年にはすでに映像を使い自分自身のコンセプチュアルアートを記録しています。例えば「30×30」という作品ではガラスが割れる過程が表現されています。1990年代初頭になると、シングルスクリーンのテレビ映像とインスタレーションを組み合わせたコンセプトアートを制作し始めました。例えば彼の映像作品「(衛)字3号」(1991)では片手で1羽の雌鳥を洗う過程を通して、文化の厳かさに対する皮肉を表しています。この作品には同年に上海で開かれた「車庫展」に参加した時の映像インスタレーション形式を用いました。一つの映像を4つのモニターで流し、その前には組み合わせた建築用のレンガを配置したインスタレーション作品です。

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2000年以降の中国映像芸術の動向はどうですか?

技術面で言うならば、両極に向かっていると思います。一つは工夫を凝らしローテクスタイルを追求するもので、簡単な撮影や編集以外でデジタル処理技術をほとんど用いないものです。もう一つは1990年代末から中国で普及し始めたコンピューターによる映像の制作や処理技術、例えばインタラクティブなものや、ゲーム、Flash、デジタル合成技術などを大々的に使用するものです。また別の流れとして、映像芸術の境界線内で映像の技術言語や映像実験そのものだけに注意を向けるのではなく、個人として社会や文化に対する批判をテーマにしたものもあります。

代表的なアーティストとしては誰が挙げられますか?

2000年前後のツイ・シウウェン(崔岫聞)、ツァオ・カイ(曹凱)、シュー・ジェン(徐震)です。彼らの影響はローテクスタイルを通して社会批判、現代性、青春芸術といったテーマを表現するということに現れています。彼らはテーマが表す障害に対し映像技術を落とし、能動的に視覚をドキュメンタリーのようなスタイルに変化させている。パフォーマンスについては2000年以降、演劇的で叙事的なものに向かっています。特にフェミニズムをテーマとするものの中で、チェン・チウリン(陳秋林)とツァオ・フェイ(曹斐)の作品は女性の目線で制作されています。青春芸術とポストモダンの演劇性が一体となった映像作品になっています。チェン・チウリンの「別れの賦」は一種のフェミニズムのセンチメンタル的雰囲気が感じられます。ツァオ・フェイの「失調257」と「犬」は、映像叙事におけるメロドラマ的要素が更に備わっています。

中国映像芸術 1988-2011
会期:2011年9月9日(金)〜11月27日(水)
時間:10:00〜21:00(月曜日休館)
会場:民生現代美術館
住所:上海市長寧区淮海西路570号F座
TEL:+86 21 6268 8729
入場料:20元
https://www.minshengart.com

Text: Emma Chi
Translation: Daiki Kojima

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