パリ・ファッション・ウィーク SS 2012
HAPPENINGText: Shotaro Okada
第2部「旅」
旅をするための衣服ではなく、衣服がまるで旅をしているかの様な印象。これが、僕にとっての今シーズンを見て感じた「旅」のイメージ。
これらのファッションは、日常とは違う雰囲気を与え、僕たちを明るい方向にシフトしてくれるに違いない。
「旅」は、心と身体に様々な栄養を与えてくれる、とても贅沢なもの。ツモリチサトのショーを見た後、その思いを抱かずにはいられなかった。南国のリゾートスタイルに始まり、それらにウエスタンや、チャイナドレスのディティールがミックスされてゆく。人魚、怪獣のプリントはファンタジックな印象を与え、まさにワン・アンド・オンリーな津森さんの世界。先のような絵柄と豊かな色合いは、まるで夢の中にいるよう。単にリゾートの気分を味わうというよりは、あらゆる時空を超え、世界中をこのブランドと共に旅をしている気分を味わうような、素敵なひとときであった。
「旅」は、必ずしもあらゆる場所に行くということではない。ファンタジーのように、心が旅をすることだってある。アレナ・アフマドゥーリナのショーでは、ツモリチサトのように、まるで夢の中にいるような気分、それも可愛いだけでなく、少し毒のある夢を描いていた。今回、デザイナーが求めたインスピレーションは「不思議の国のアリス」。それを直接的に用いるのではなく、この物語の始まりのように、日常と非日常が揺れ動く様をテキスタイルやシルエットで表現していた。
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